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. 恋しいのは君の手 16
~Yside~
「クソッ、ダメだ」
「ユノ休憩しよう、今日はもう充分だよ」
「あーもう少し」
「しょうがないやつだ、とにかく一旦体休めて、な?」
「……」
練習室の片隅でゴロンと横になる俺、今日はパフォーマンスの打ち合わせでここに詰めてるわけだけど
なんだよ、なんでこんなに調子出ねーんだよ……
昨日返ってきたチャンミンからのメッセージは、まるで保護者みたいな内容で甘さなんて一つもない
飯は食ったか?とか
ストレッチは欠かさずやってるか?とか
この前俺の腕の中で真っ赤になっていたくせに、なんだよ、俺ばっかり好きみたいじゃねーか!!
離れているせいかネガティブなことばかりを考えてしまって
なんだよ俺らしくもない………なんて
こういう時は得意なダンスも当たり前にうまくいかない
この前痛めた足首もなんだか調子が悪いし、今日はもうやめて帰ったほうがいいのかも
「ユノさん、スタッフの方がみえてますよ」
「え?ああ」
突然事務の子から声をかけられて床から飛び起きた、またこっちのマネージャーが誰かよこしたんだろう
割とお節介な人だから……
「し、失礼します、あの、ユノ?///」
「………え!?///」
スタッフの後ろから着いて現れたのは、此処にいるはずのないチャンミンその人だったんだ
. 恋しいのは君の手 15
~Cside~
「え?日本、ですか?」
「ああそうなんだ、それでね、君にも是非ともと思って」
「でも、僕なんかがわざわざ……」
「いや、ユノのたっての希望でね、向こうでパフォーマンスの打ち合わせもする事になったから余計に」
「は、はあ///」
あの夜、ユノと過ごしてからはや一週間
ツアーの中休みも束の間にユノは機上の人となり海の向こうへ行ってしまった
あの後はなんだか気まずくてあまり話せなかったから、正直ホッとしたような寂しいような
予定が済み次第帰るとメッセージは届いていたけど、正直これからどうしたらいいのか
………やっぱり好き、なんだよね
有名人だからとかそういうのはおいといて、ユノのこと好きだと思う
でも……僕の存在が邪魔になるんじゃないかって不安もある
ユノの足を引っ張るような真似は絶対にしたくない!!
「エアーはおさえてあるから準備だけはしておいてくれよ」
「わ、わかりました///」
わざわざジムまで来てくれたマネージャーさんに別れを告げて小さくため息をつく
いけないいけない、ぐるぐると考え込むのは僕の悪い癖だ
ましてや外なのに……
「チャンミン、どうした?」
「あ、シウォンさん」
事務所に戻ってきたシウォンさんに一連の流れを説明すると、ふむ、と腕を組んで考え込んでしまう
……なにか、気付かれた?
「俺も丁度日本に行こうと思ってたんだ、ついでだから一緒に行こうかな」
「はっ?///」
そう言ってにっこりと笑うシウォンさんに、ただ呆然としてしまう僕だったんだ
. 恋しいのは君の手 14
~Yside~
「ユノ、何ぶーたれてんだ?」
「別にぶーたれてねぇよ」
「そうかあ?顔が強張ってんぞ?」
そう言って俺の頭をワシワシと撫でるマネージャー、今俺は正に空の上にいるわけで……
突然の海外のオファーがあって、休みも切り上げての出国になっちまうとか
せっかくチャンミンとまったり出来ると思ったのに!!
つれない恋人は俺が帰るって言うと、ホッとした様に笑顔になった
なんだよ、俺のこと好きって言ったんじゃないのかよ!!
あ………まだ恋人じゃなかったっけ
考えれば考えるほど落ち込んでくる
俺が芸能人だとかアジアのスターだとかはさておいて、好きだって言って欲しいだけなのに
アジアのスターってのは言い過ぎか(笑)
いやいや、それを目指して今まで頑張ってきたんだ、そして今も努力は続けているつもり
でも、好きになっちまったもんは仕方ない、この性格だから思い込んだら止ることなんて絶対に無理!!
あと一押しだと思うんだ、うん
「クソッ、どうすりゃいいんだよ」
「ユノ?」
「な、何でもない」
つい口をついて出てしまった心の声に、慌てて咳払いをして誤魔化す俺だったんだ
. 恋しいのは君の手 13
~Yside~
「ユ、ユノのバカッ!!///」
「ってえ、ごめんって」
「もう知らない!!」
隙をついてキスを交わしたまでは良かった……
が、ちょっと調子に乗りすぎて、その……反応してくれる事が嬉しくて
当たってる、なんて言っちまったもんだから、半泣きになったチャンミンに遂には押し退けられちまって
俺ってば本当にバカ!!
溢れそうになる涙を隠すように俯くあなた、ああ、泣かせるつもりなんてなかったのに
そっと手を伸ばして抱き寄せれば、思い切り睨み返すからキュッと胸が痛くなる
無理やりなんて出来っこない
でも触れたくて仕方がないんだ!!
「チャンミン、ごめん」
「……///」
「好きなんだ、止めらんない」
「………うん」
「キスしたい」
「……ユノ///」
呆れたように俺を見つめる瞳はどこまでも優しくて、怖がらせないようゆっくりと唇を重ねたんだ
. 恋しいのは君の手 12
~Cside~
どうしてこうなってしまったんだろう………
何がなんだかわからないうちにユノに乗っかられて、勝手にマッサージが始まって
だって気持ち良くないわけがない!!
………でも、なんで今僕はユノとキスをしてるの?
耳だってペロリと舐められて変な声も出ちゃうし、しっかりと抑えられて逃げることもできない
背後から迫る熱い吐息、無理な体制からのキスに必死に体を捩るのに許してなんてもらえない
なのにくるりと体を返されて、落ちてくるのは黒目がちのアーモンドの瞳
ああ、綺麗、なんて思ってる暇もなく、また唇を塞がれて……
「………んっ、ユ……ノ……///」
「チャンミン好きだ」
「………やめ……んん///」
「無理、止まんない」
そうこうしてるうちにジンジンと熱くなる体、好きな人と触れ合ってるんだから当たり前に……!!
「チャンミン当たってる」
「!!!!///」
「すげー嬉しい」
ニヤリと笑ったユノの顔があんまり意地悪で、泣きそうになってしまった僕だったんだ