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. やっぱり君が好き 37
~Cside~
「よし!!帰ろう!!」
「ユ、ユンホさん?///」
「いいから急いで」
「えっ?わわ、待って下さい///」
個室に戻ってきたユンホさんはおしぼりを握りしめていた僕の手を取ってニッコリと笑った
あれから落ち着かなくて、水を飲んだり部屋をウロウロしたりしていたから
あまりの急展開に頭がついていかないのに
何が何だかわからないまま腕を引かれてタクシーに乗りこむと、あっという間にユンホさんのマンションへとついてしまった
ユジンさんはどうしたのか、とか
お金とか払ったっけ、とか
聞きたいことが色々あったのに、隣にいるユンホんは黙ったままだし
本当にいったいどうしちゃったんだろう………
どうしていいかわからず呆然とする僕をユンホさんは優しくソファへと座らせてくれたけど
僕の肩に顎を乗っけたまま動かなくなってしまって……
「………ユンホ、さん?」
「チャンミン」
「は、はい///」
「好きだよ」
「!!!!ぼ、僕もです///」
「少し話を聞いてくれる?」
「………は、はい」
そっと体を離したユンホさんの顔があまりにも真剣で、ちょっぴり不安になってしまう僕だったんだ
. やっぱり君が好き 36
~Yside~
「あの………チョンさん?」
「ユジン、なんでこんなところに」
「うふふ、偶然ですね」
そう言って悪戯っぽく笑うユジンに思わず溜息をつく
全くこんな時に迷惑な話だ……
「さっきね、可愛いお連れさんとお会いしたんですよ」
「ああ」
「メモを渡して欲しいとお願いしたら真っ赤になって行ってしまって、親戚の方ですか?」
「そんなところかな」
「随分冷たいんですね、撮影の時は優しかったのに」
パチパチと上目遣いで見つめるユジン、こういうのを計算してるっていうんだろうな
……確かに一般的に見て美人には違いない
ま、我が恋人君には全く敵わないが(笑)
思わずクスリと笑った俺を怪訝そうに見つめる彼女、まさか男と比べられてるなんて思いもしない、よな
「何がおかしいんです?」
「あ、いや、ユジン、悪いけどこのメモは返しておくよ」
「……え?」
「あまり不用意なことはしない方がいい、この世界で生きていくにはね」
「チョンさんあの!!」
何か言おうとするユジンを置いてその場を立ち去る、後ろにはマネージャーらしき人が様子を伺っていたから恐らく大丈夫だろう
新人女優の我儘に付き合わされて気の毒な話だ
俺は店主への挨拶を軽く済ませると、チャンミンの待つ個室へと急いで向かったんだ
. やっぱり君が好き 35
~Cside~
『心配しなくていい、少し待ってて?』
そう言ってユンホさんは僕を残して部屋を出て行ってしまった
後から店の人が飲み物を持ってきて、泣きそうな顔を隠すのに必死だったけど
冷たいおしぼりを貰ったから、慌ててゴシゴシと顔を拭いて誤魔化した
ユジンさんってもしかしてユンホさんに気があるのかな……
連絡先を渡してくるとか……きっとそういうことだよね
あんなに綺麗な女優さんとか僕なんか絶対に敵わないのに
やっぱり振られてしまうのかな………
そう考えたら涙が溢れそうになっちゃって、僕はがっくりと肩を落とした
でも、とりあえずは待ってろって言われたし、いつも考えなし逃げ出してしまうから
ユンホさんに心配かけちゃいけない、よね
落ち着いて考えてみたら僕らはデート中だったわけだし、これからユンホさんの家にお泊まりするわけだし
うん、大丈夫、きっとユンホさんは戻ってくる
そう自分に言い聞かせて、どうにか気持ちを落ち着かせる僕だったんだ
. やっぱり君が好き 34
~Yside~
『ぼ、僕邪魔なら帰ります、から』
そう言って出て行こうとする君の腕を掴んで抱き寄せる
…………一体何があった?
腕の中の君は黙ったままだし、下唇を噛んで瞳にはいっぱいに涙をためて
「チャンミン、ちゃんと説明して?」
「………あの、ユ、ユジンさんって人が」
「は?ユジン?」
「………ユンホさんにって、あのコレ」
震える手で手渡されたのは小さなメモ、中には電話番号が書いてあるようだが
まさかここにユジンが来ている?
「チャンミン、ユジンにここで会ったの?」
「……はい、だから僕……あの///」
「俺は誰とここに来たんだっけ?」
「………え?あの、ユンホ、さんです///」
「じゃあ君が帰る必要なんてどこにもない」
「………でも///」
「心配しなくていい、少し待ってて?」
「………は、はい///」
もっと俯いてしまった君に触れるだけのキスをすると、彼を残して部屋を出る
全く、どういうつもりなんだ……
先に会計は済ませておいたから、すぐにでも店を出たいくらいだが
店主に声はかけておかないと
「あの………チョンさん?」
急ぎ足で店の廊下を歩く俺の前に現れたのは、さっき話していたユジンその人だったんだ
. やっぱり君が好き 33
~Cside~
『もしかしてあなた……ユンホさんのお友達?』
トイレから出た僕に声をかけてきたのは、ユンホさんと撮影していた女優さんだった
……な、なんでこんなところに?
「あ、あの……?」
「あら失礼しました、私チョン・ユンホさんと一緒に共演させていただいてるユジンと申します」
「は、はあ///」
「あなたがユンホさんと仰ったから、もしかしてと思って、以前お見かけしたこともあったし……」
………えっ?見られていた?いつだろう、全く気が付かなかったけど
どうしていいか分からずオロオロとする僕を見つめるユジンさん
……少しバカにしたように見えるのは気のせい?
「昨日の打ち上げも参加せずに帰ってしまったし、ねぇ、あなた何かご存知?」
「……えっ?」
「私演技のことでお聞きしたいことがあってお誘いしたのに、全く取り合ってもらえなくて、あなたから言ってくださらない?」
何を言われてるのか全く理解できないけど、ユンホさんに会わせてほしい的な感じ……なのかな?
そんなこと僕が決めれる事でもないし、約束なんてできないけど
本当に、こ、困ってるなら………
「つ、伝えておきます」
「そう?ありがとう、コレわたしの連絡先だから渡してくださる?」
「!!は、はい……」
そう言ってユジンさんはにっこりと笑うと、僕の手に小さな紙を握らせたんだ