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. 夢で逢えたら 19
~Cside~
手術の話をしたら、思ったよりユノの反応が良くなくてちょっと悲しくなった
きっと賛成してくれると思ったのに……
とても不安だったけど、ユノが背中を押してくれれば大丈夫な気がしていたから
ユノは口元に手をあてて、難しい顔でじっと考え込んでしまって
「……チャンミン、その手術のリスクはどうなんだ?」
「…成功率ってこと?」
「ああ、いくら腕の良い医者でも100パーセントってことはあり得ないだろう?」
「………」
そう言われてしまうと僕も困ってしまう……
先生の話では僕の体力次第ってことだから、今の安定した時期がチャンスだって言われたんだ
「ね、ユノ?僕大丈夫だよ?」
「……せっかく逢えたのに、もし君に何かあったら」
ふわりと抱き締められてユノの腕の中、ああ、こんなにも僕のこと考えてくれてるんだ
「チャンミン好きだ」
「………え?/////」
「好きだよ、失いたくないんだ」
「……ユノ……んっ/////」
ユノからの突然の告白に戸惑いながらも、何度となく落とされる唇に、熱くなる体を抑えきれない僕だったんだ
. 夢で逢えたら 18
~Yside~
「……え?手術?」
チャンミンはこくんと小さく頷くと、俺の顔を真っ直ぐに見上げた
まるで宝石のような瞳には強い意志が溢れていて
「担当の先生から薦められたんだ、僕……受けてみようかと思う」
「……もう決めたの?」
「ううん、一度ユノに相談してからって思って、だって…離れることになっちゃうし/////」
「そっか、アメリカ…だったよな?」
「……うん/////」
突然のアメリカでの手術の話に、ちょっと頭がついていかなかったけど
チャンミンの話では今回の手術が成功すれば、健常者と変わらない生活が送れるようになるらしい、スポーツだって出来るようになる、と……
「僕ね、夢の中みたいにユノとこの家の庭を駆け回りたいんだ」
「………」
「だってずるいよね、夢の中の僕はとっても元気なんだよ?」
「チャンミン………」
そう言って君は悔しそうに俯いてしまうから、俺は君を抱き締めずにはいられなかったんだ
. 夢で逢えたら 17
~Cside~
あれから僕らは度々会うようになって……ていうか、ユノがずっと訪ねてきてくれるようになって
いくら車でも結構距離があるのに、貴重な週末の休みを使って僕に逢いにきてくれる
あまり外に出られなかった僕にとって、ユノの話はとても新鮮なもので
逢うたびに抱きしめ合っては、お互いの存在を確かめ合っていた
うちの父さんともすっかり打ち解けちゃって、まさか、父さんの会社の取引先に勤めてたなんて思いもしなかったけど
意外と近くに居たことも、やっぱり運命なのかなって思ったり/////
……想いを伝えあったわけじゃないけど、僕らはきっと同じ気持ちで
でも、一歩踏み出せないのは、自分の体のことがあるからかもしれない
怖い……んだよね……
もし、前みたいに大きな発作が起きて僕がこの世から消えてしまったら、きっとユノを悲しませてしまうと思うし
それでも限りある命なら、やっぱり好きだって伝えたいと思うのも事実で
この前母さんにユノの事どう思ってるかって聞かれたのは驚いたけど、きっと僕の気持ちなんてバレてしまってる/////
そんな時、担当のイ先生からアメリカで手術を受けてみないかという話があった
向こうの医療チームが完全にサポートするって話だったけど、それってかなりリスクが高いってことだよね
怖いと思う反面、夢の中のようにユノと一緒に走り回ることが出来たらって
……そう思ってしまう僕なんだ
. 夢で逢えたら 16
~Yside~
今まで楽しそうに話していたのに、急に俯いて何か思い詰めたような顔をして
放っておくとそのまま消えてしまいそうで、思わず抱き締めてしまったけど
「運命、だよな」
「……ユノ?/////」
「俺たちが出逢ったのって、運命だと思うんだ」
「……うん/////」
「こうしてると安心する、ちゃんとチャンミンがいるってわかるから」
「……僕ちゃんと……いるよ?/////」
「ああ」
君と出逢ったときから抱いていた不思議な感情、自分の中で認めるのが怖い気もしたけど、やっぱり自分に嘘はつけないな
……彼を好きだ、と、思う
男とか女とか関係なく、魂が求め合ってるんじゃないかって
こんな想いは誰にも抱いたことはなかったのに、急速に君に惹かれていくんだ
そして、きっと君も同じ気持ち………だよな?
俺を見て微笑むその笑顔が、触れるたびに染まる頬が教えてくれる
でもまだ伝えるには早すぎる気がして……
黙って君を抱き締めることしか出来ない俺だったんだ
. 夢で逢えたら 15
~Cside~
「チャンミン!!」
「あ……ユノ!!/////」
待ちに待った週末、僕はとても家の中で待ってなんていられなくて、朝からソワソワと庭を行ったり来たりしていて
ユノの車が見えた時には思わず飛び跳ねてしまって、母さんがテラスから心配そうに見ていたけど
……ユノがいるから大丈夫/////
車から降りてきたユノは、これでもかってぐらい荷物を沢山抱えていて
目を丸くする僕の髪を撫でて『全部チャンミンのお土産だ』なんて言うから思わず笑っちゃったけど
ユノの大好物の苺、僕も大好きだから/////
リクエストしたユノのアルバムは、やっぱり夢の中で会った子供の頃のユノとおんなじで
「俺達って夢の中で幼馴染なんだよな」
「……うん、でも、誰も信じてくれないよね」
「俺達だけが分かってればいい、本当のことなんだからさ」
「うん/////」
そう言って笑うユノはどこまでも優しくて、とても見つめてなんていられない
………好きって言ったら嫌われちゃうかな/////
会えなかった時より、会えたほうがずっと好きになってしまった…
僕はとても欲張りになってしまったみたい/////
急に黙って俯いてしまった僕を、ユノは何も言わずにそっと抱き締めてくれたんだ