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苺な彼とビールな僕

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. チャラい奴には敵わない 29











~Cside~












『ふふ、あなたのこともっと知りたくなったわ、ね、チャンミンさん』








そう言ってヒョヨンさんはニッコリと笑った







………なんだろう、胸がもやもやする







挑戦的だか挑発的だかわかんない態度だし、若干上から目線な気もするし!!






まるで『私の方がユノのことよく知ってるのよ』的な感じ!?






そんなの昔からの知り合いだったら当然だし!!


今ユノと付き合ってるのは僕なワケだし!!







彼女に席を譲って隣にきたキュヒョンはすっかりデレちゃってて助け船とか出してくれそうもない






元々家でゲームばっかりしてるような僕らが太刀打ち出来るような相手じゃないけれど………






でも!!






ぐるぐると考えているとクスクスと肩を揺らしてさも面白そうに笑うヒョヨン







まったく!!


何が可笑しいのかさっぱりわからないって!!








「チャンミンさんは可愛いわね」




「はっ!?」




「ユノが夢中になるわけね、ふふ」












綺麗な指で口元を隠すようにコロコロと笑う彼女に、思い切り睨み返すしかない僕だったんだ






































. そばにいて、愛しい人 25












~Cside~











「チャンミン、聞いてほしいことがあるんだ」




「………え?」









そう言ったっきり黙ってしまったチョンさん、そんな風に見つめられるとドキドキしちゃうのに///






ラーメンと炒飯を食べ終わって外へ出ると肌寒いほどで






ああ、もうすっかり秋なんだって


あなたと初めて出会った頃は夏だったのに、なんて






2人並んで歩く川沿いの道は心地よい風が吹いていて






このまま2人でいられたら……









「チャンミン、俺さ」




「は、はい///」




「学生の頃結婚してたんだ」




「………えっ?」




「若気の至りってやつかな、驚いた?」




「……はい」




「一つ上の先輩でね、とても好きだった、でも、彼女は俺とは違う道を選んだ」





「………チョンさん」








思いもよらない事を言われて暫くフリーズしちゃったけど、そんな大切な事を何で僕なんかに……?







「彼女と別れた時もう二度と恋なんてしないと思った、あの時の僕は一生分かけて彼女を愛したと思っていたんだ」




「………」





「でも、君と出会ってからそれは思い違いだって気付いた」





「……え?///」






「チャンミン好きだ、俺の恋人になってくれませんか?」










僕を見つめるアーモンドの瞳があまりに優しくて、慌てて視線を逸らす僕だったんだ































. チャラい奴には敵わない 28













~Yside~










「おいユノ、ちょっとこっち来てくれよ」




「ああ、ヒョヨン、悪いけど失礼するよ」








ドンヘに呼ばれてヒョヨンの元を離れると、視界の端に見えたのはパタパタと顔を扇ぎながら出てきたチャンドラの姿







………ふふ、やっと治ったのか








まだ赤い耳が少し艶っぽいが、ま、それくらいは許せる範囲か






でないと俺の恋人のきたら無意識オーラを発して人を寄せ付けるから……






「ユノ、見惚れてんなよ」




「自分の恋人に見惚れて何が悪い」




「ったく、仕事中だっての!!」




「はは、悪い悪い、で?何?」、




「ああ、知り合いが来たからカウンター入ってくんないかと思ってさ、少しだけ頼むよ」





「ああ、任せとけって」









キュヒョンと一緒に奥のボックス席に座るチャンドラを見届けると、俺はカウンターの中へと入ってドリンクの用意をする






この店は基本的にはカフェだから酒は置かない予定だが、今日だけは特別に、ね







俺がカウンターの中に入ると同時に遠巻きに見ていた女の子達が大勢押しかけてきて、あれやこれやと注文をつけるもんだから小さく溜息をつく







ま、こういうのは嫌いじゃないけど今は、ね







色取り取りのリキュールを配合して作ったカクテルは、まるでチャンドラの瞳のようにキラキラと輝いて……








ああ、早く帰って君を抱きしめたい








こんな華やかな女の子達さえ煩わしく感じてしまう自分に、呆れて苦笑いしてしまう俺だったんだ






















. そばにいて、愛しい人 24











~Yside~











「僕、本当に鈍臭いっていうか、抜けてるとこ多いですよね、毎回チーフにも言われてるんですけど」




「そう?そんな風に見えないけど」




「いえ、もっと落ち着けって毎日のように言われてます」




「ふふ、シウォンからは助かってるって聞いてるよ?」





「え?あ……それ、嬉しいです///」








仕事の合間にやってきたのは近くのラーメン屋、ここの炒飯が絶品だからチャンミンに食べさせてやりたくて






ハフハフと出来立ての炒飯を頬張る君が可愛くて、食べるのを忘れて見惚れてしまうほどで






話題がシウォンのことばかりなのは仕方のないこと、なんせ2人の唯一の共通の知り合いなんだから……






でも、ちょっぴり妬ける、な








「……チョンさん?食べないんですか?」




「あ、いや」




「心配事とか、ですか?///」




「ん?恋煩い」




「こっ、こい!?///うわ、あちっ!!」




「あ、おい、大丈夫か?」








俺の言葉に驚いてラーメンのスープをこぼしてしまう君







その動揺は期待していいってこと?



ねえ、もう伝えたくて仕方ないんだ




でも、俺には………








おしぼりをもらってテーブルを拭くと、申し訳なさそうに頭を下げるから思わず笑ってしまう







「チャンミン、聞いてほしいことがあるんだ」




「………え?」









俺は息を深く吸い込むと、目の前で不安そうに首を傾げる君へと向き直ったんだ









































. チャラい奴には敵わない 27












~Cside~











「あなたがユノの恋人?」




「へっ?///」







そう言ってクスクスと笑う派手めの女性、カフェのオープニングパーティとはいえ夜の匂いがプンプンするっていうか






ま、実際香水もキツめなわけだけど………







話しかけられたはいいが口の中は唐揚げでいっぱいだし、モゴモゴと言葉にならなくて口元を押さえる







………随分挑発な感じだし、これってもしかして







「隣、いいかしら?」




「あ、どうぞどうぞ!!///」






僕の向かいに座っていたキュヒョンは立ち上がってその女性へと席を譲る





僕はといえばなんて言っていいか分からず相変わらずだまったままで………







「で?どうなの?ユノの新しい恋人さん」




「……シム・チャンミンです」




「あら、素敵な名前ね、私はヒョヨン、ユノとは昔からの知り合いなの」




「そ、そうですか」







あまりにもじっと見られて思わず目線を逸らす僕、何もそんなに見つめなくったって……







それにさっきまでチラチラ見えてたユノの姿も忽然と消えてしまったし







こ、こういう時こそ側にいてほしいのに!!








「ふふ、あなたのこともっと知りたくなったわ、ね、チャンミンさん」





「はっ!?///」









思いもよらぬその人の言葉に、ただ呆然とすることしかできない僕だったんだ


















. そばにいて、愛しい人 23












~Cside~











ここ一週間ほど詰めてチョンさんの自宅兼事務所のマンションに通っている僕







ちょうど今やってる仕事の締め切りが迫っていて、会社の帰りに資料や書類を持ってはチョンさんのお宅にお邪魔している







勿論チーフには了承を得てのこと!!








でも、心臓がどうにかなっちゃうんじゃないかって思うくらいドキドキの連続で、最近は目も合わせられないくらい






仕事だってわかってるはずなのに///








だって気づいてしまったんだ、僕がチョンさんに恋してるってこと






今まではぼんやりとして自覚があるわけじゃなかったから






同性に対してまさか、なんて思ってきたけど…







気付けば彼を目で追っている自分がいて、不意に触れた所がジンジンと熱を持って






ああ、もう認めるしかないんだって……







こんな気持ちになったのは本当に初めてのことで、僕自身どうしていいかよくわからない






変なこと言って気持ち悪がられてしまったら、きっと担当だって外されてしまうと思うし






そんな事になったら二度と会えなくなってしまう






それに、チョンさんに嫌われたら僕………








「チャンミン、こっちがひと段落したら飯でもどう?」




「うわ、はいっ!!///」




「ふふ」








僕をみてふわりと笑うあなたの瞳が眩しくて、慌てて視線を逸らす僕だったんだ


























. チャラい奴には敵わない 26











~Yside~









「本当にお久しぶり、相変わらず元気そうね」




「おかげさまでね」




「最近ちっとも顔を見せてくれないから寂しかったわ」




「はは、いや」








そう言ってニッコリと笑うヒョヨンに心の中で溜息をつく






そういや顔見せるって言ってたっけ……






この辺りででかいクラブを経営するヒョヨンはかなりのやり手で






元々は父親がオーナーだったことがキッカケだったらしいが






ま、当たり前にオープニングパーティの招待状もドンヘが送っていたワケで……







「いい店じゃない、でも、飲み屋じゃないなんてあなたらしくないわね」





「ん~こういうコンセプトも好きなんだよ」





「まあ、まだ私の知らない事がいっぱいあるのね」





「いやいや、クィーンのお眼鏡にかなって光栄ですよ」






「やだ、ユノったら」







コロコロと無邪気に笑う彼女は持っていたグラスをテーブルに置いた







俺より年上な筈なのにそんなことは感じさせないプロポーションと美貌







それに、こういうやりとりは嫌いじゃない、昔は彼女に憧れたこともあったけど今は………







「ねえユノ、新しい恋人が出来たって本当?」





「ん、まあね」





「あら珍しい、否定しないのね」





「なんせゾッコンなもんで」











俺の言葉にキラリと目を光らせる彼女に、悪い予感しかしない俺だったんだ



































. そばにいて、愛しい人 22












~Yside~










「チョンさん、この前パソコンの前に立てといた資料どこにやりました?」




「えっ?いや、確かそのまま…」




「それが無いんですよね、うーん、どこだろう」







そう言って顎に手を置いて考え込む君、ちょっぴり不機嫌に見えるのは怒っているから?






いやいや、そんな表情さえ可愛いと思ってしまうとか






最近の俺は………







「あ、あった!!」




「おわっ!!///」






俺の脇の辺りに不意に手を伸ばすから驚いて変な声を出してしまった





だってね、まるで抱きついてくるようにみえてしまって///







「あ……す、すいません///」





「いや///」








最近お互いに意識し過ぎているのは自覚がある







でも、こんな風にしていると君が俺と同じ気持ちなんじゃないかって……







「……チョンさん?」




「あ、いや」








ああ、このまま君を抱き締めてしまえたら


君に伝えることができたら………







そんな事ばかり考えて黙ってしまう俺を、不思議そうに見つめるバンビアイがゆらゆらと揺れていたんだ





















. チャラい奴には敵わない 25













~Cside~












『今からシてもいいよ?』







いきなり店の奥に引っ張っていかれて、散々僕を蕩けさせておいてこんなセリフとか!!






ほんと何考えてんだかわかんない!!






そうやって意地悪をする割には僕に触れる手はやたらと優しくて





僕の事好きって全身で言ってるみたいで堪んなくなる






あんなに不機嫌だったのはまさかドンへさんにヤキモチ……だったのかな?






とにかくこのままじゃ店には出れないから、ゆっくりと深呼吸を繰り返す






ほんとにユノの奴ってば!!///






やっとの事で自分を落ち着かせて店内に戻ると既にオープニングパーティは始まっていた!!








「チャンミン大丈夫?」



「あ、うん///」



「調子に乗って飲むからだよ、遅いから始まっちゃったじゃん」




「ご、ごめん」







ひとしきりキュヒョンに叱られてから僕らは特別に用意された奥の席へと案内された






豪華な料理が並ぶテーブルに戸惑ってしまったものの






せっかくだし頂くか、なんてキュヒョンと顔を見合わせて開き直った所だった








「あなたがユノの恋人?」




「へっ?///」








口の中にでっかい唐揚げを入れた瞬間、派手めの美人がキツイ香水の匂いと共に現れたんだ



























. そばにいて、愛しい人 21













~Cside~











あれから………僕とチョンさんはちょくちょく会うようになった








僕のことを知りたいって言うチョンさんの真意はよくわかんないけど







一緒にいて楽しかったりとか


時間を共有できたり、とか







そんな単純なことが幸せで、でもその反面、あんなにイケメンでモテそうなチョンさんがフリーなのが気になっちゃったり






あと、どこかしら寂しげなのも………








「おい、チャンミン!!」




「へっ?あ!!チーフ!!」




「なんだなんだ?随分物思いに耽ってんなぁ?」




「あ、いえ///」








つい仕事中にチョンさんのことばっか考えちゃって、ぼうっとしてるところをチーフに見つかってしまった







いけないいけない、まだまだ研修期間中だっていうのに







慌てる僕にクスクスと肩を揺らすチーフはどこまでもカッコいい






やばい、気がついたら僕ってイケメンにばかり囲まれてる気がしてきた!!///








「はは、ユノが気にいるのがわかるよ」




「へっ?///」




「紹介するんじゃなかったな」








そう言って僕の髪をぐしゃぐしゃと撫でるチーフに、フリーズしてしまう僕だったんだ



















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紫苑☆

Author:紫苑☆
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