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. うちの家政婦さん 5
~Yside~
『は、初めまして、トーホーサプライから参りましたシム・チャンミンです、あの……よろしくお願いします!!///』
そう言って細い体を折るようにぺこりと頭を下げたその人
………心臓が止まるかと思った
家政婦……なんだよな?ってかなんでそんなモデルみたいなビジュアルしてんだ!!///
おまけに俺と変わんないくらいの身長なのに、何故か目線は上目遣い
サラサラの髪がふわりと揺れて、なんか甘い匂いとかしちゃってるし!!
控えめにボソボソと話す言葉も柔らかいっていうか、優しいっていうか
お、男にドキドキしちまってるとか!!///
とりあえず落ち着こうとパソコンに向かってみるけど、どうにもリビングが気になって仕方がない
そういや掃除を頼むよ、なんて言って部屋に籠っちまったけど、トイレやキッチンの説明もしないままだった!!
……み、水でも取りに行こう、かな///
何故か自分に言い訳しながらそろりと部屋を出て様子を伺ってみる
「………あ……れ?」
あれだけ散らかっていたリビングはスッキリと片付けられて掃除も終わらせてある
キッチンを覗くと溜まっていた洗い物は綺麗に片付けられてシンクはピカピカに磨かれていた
………どこにもいない?
キョロキョロと姿を探すけど気配もないし、ふとベランダへ目をやると洗濯物を干す後ろ姿が目に入る
……水色のエプロンが風に揺れてまるで妖精のようで
陽射しに照らされた横顔があんまり綺麗で、思わず見惚れちまった俺だったんだ
. 好きがとまらない 21
~Cside~
……どうも様子がおかしい
お昼にカフェで会ってから不機嫌全開の顔でデスクに座るユノさん
アメリカーノ買って行ったのにニコリともせずにパソコンに向かっちゃって
怒ってるとかじゃなくて………そう、まるで子供が拗ねてるように見えるのは気のせい、かな
あれからミノは怖がっちゃって近くに行けないって嘆いてるし
もしかしてランチが食べたかった、とか?
それとも何か本社であったのかな……そうだったら心配なんだけど
結局その日、ユノさんは就業時間まで不機嫌なままで、思い切ってご飯に誘ってみようかとチラチラと様子を伺っていた
「何?」
視線は書類に向けたままボソリと呟かれて、思わずキョトンとしてしまう僕
……えっと?今確か……
「チャンミン、お前に聞いてる」
「………へっ?///」
「さっきから見過ぎなんだって、で、何?」
「……あ///」
そう言ってふわりと緩んだアーモンドの瞳がかっこよすぎて、やっぱりずるいって思ってしまう僕だったんだ
. うちの家政婦さん 4
~Cside~
「は、初めまして、トーホーサプライから参りましたシム・チャンミンです、あの……よろしくお願いします!!///」
玄関で迎えてくれたチョンさんに深々と頭を下げる僕
やっぱり最初の挨拶って大切だよね、うん
「ああ、よろしく、どうぞ?」
そう言ってさっさと中へと入って行くチョンさん、もしかして寝起き、とか?
随分ぶっきらぼうな人だけど、ちらりと見えた横顔はスッキリとしたイケメンの雰囲気
眼鏡かけてるからよくわかんないけど、後姿のスタイルの良さは男の僕でも見惚れてしまうほど
うわ、なんか余計に緊張してきちゃった///
「どうかした?入って?」
「あ!!は、はいっ!!///」
慌てて靴を揃えて中へと入ると、せっかくの広いリビングには脱ぎ散らかした服や開けっ放しのペットボトルが散乱していて
まさに男の一人暮らしって感じ、かな(笑)
とりあえずは洗濯から始めて次はキッチンかな、後で掃除機をかけて……
辺りをキョロキョロと見回して段取りを考えていると、後ろから視線を感じて振り返った
……あ!!チョンさんのこと忘れてた!!
「……あの?///」
「いや、本当に家政婦なワケ?」
「は、はい……えっと?///」
「いや、書斎で仕事してるから掃除を頼むよ、じゃ」
そう言って片手を上げたチョンさんは、振り返りもせずに奥の部屋へと消えて行ったんだ
. 好きがとまらない 20
~Yside~
なんか気に入らない
本社での会議を終えて会社へと戻る途中、近くのカフェのテラス席に見えたミノとチャンミンの姿
……飯食ってんのか?
天性の屈託のなさも手伝ってか最近やけにチャンミンとの距離を詰めてきたミノに
こんなに警戒してんのは俺だけ、なんだよな
おまけに本社で会ったシウォンまでチャンミンに宜しくと言ってきやがった!!
なんでお前が知ってんだ!!
てか、気安く呼ぶなってーの!!
なのに本人はどこ吹く風って感じで至って普通だからタチが悪い
ああ、そんな笑顔誰にも見せたくないのに……
『何赤い顔してんの?』
そう言った俺の声があまりにも低くてミノがギョッとしているけど
キョトンとするバンビアイは全く意に介してない
「ユノさん、おかえりなさい///」
「……ただいま、腹減った」
「もう食べちゃいましたよ、座りますか?」
「いや、ミノに悪いし」
「いっ、いや!!ユノさんどうぞ!!」
「ん、飯買ってきたから会社で食うわ、チャンミン、アメリカーノ買ってきて?」
「あ、はい///」
「おっ、お疲れ様ですっ!!」
カチコチに固まって立ち上がるミノに笑いを堪えながら、俺は店を後にしたんだ
. うちの家政婦さん 3
~Yside~
「はあ?家政婦だあ!?そんなのいらねーって!!」
『まあまあそう言うなよ、お前んとこの編集からもキツく言われてるんだよ、部屋が汚いと筆も進まないってさ、とりあえず来週から行かせるから!!』
「なっ!!おいドンへッ!!」
ドンへとそんな話をしたのは先週のことだったっけ
……そういや家政婦が来るっての今日だったんだ
俺の名前はチョン・ユンホ、これでも一応人気の小説家だったりする
付き合って1ヶ月ほどだった彼女と別れたのがつい2週間ほど前のことで
『私、あなたのお母さんじゃないから』
そんなことを言われて別れを告げられると、当たり前に部屋が汚くなっていって、俺って本当に片付けが苦手なんだよな
ハウスキーパーを紹介する会社に勤めるドンへがいつも心配して色々世話してくれんだけど
俺ってどうも他人が家にいるのが苦手らしくて、速攻で断っちまうんだ
意外とデリケートなんだって変なとこで感心されたりもして
終いには『早く結婚しろ!!』なんて言われちまうし、まったく大きなお世話だってーの!!
おまけにうちの編集のボアがドンへと知り合いで、知らないうちに情報が流されてるし
俺の個人情報を勝手に晒すなっての!!
しかも今回は男だって話だし、確かに若い女の子とかはやめてくれって言ってあるけど
まさか男が家政婦としてやって来るんなんて!!
何が悲しくて男に世話して貰わなきゃいけないんだよ!!
………とりあえず会ってちゃんと断ろう
インターホンのカメラ越しに見えた丸い後頭部に、溜息をつくしかない俺だったんだ
. 好きがとまらない 19
~Cside~
「え?シウォンさんも来るんだ」
「あれ?なんで知ってんの?」
「あ……新人研修の時にお世話になったから」
「へえ、そうなんだ、あの人いい人だよね~」
そう言ってミノはコーヒーを啜った、今日は二人で近くのカフェにランチに来たんだよね
ウッドデッキのテラスとかオシャレだし!!
いつもならお昼は軽く済ませるけど、今日はユノさんも本社に行っていないし
気分転換、だよね
だってね、ユノさんって本社でもモテモテだって聞いているから、ほんのちょっと不安だったりするんだ
「そーいやさ、シウォンさんってさ、すげーお金持ちらしいよ」
「へえ、なんか……ぽいね」
「だよな、ユノさんとも仲が良くてさ~よく飲みに連れてって貰ったよ」
「そ、そうなんだ///」
「最近付き合い悪いからな、誰か付き合ってる人いんのかな?」
「さ、さあ///」
腕を組んで大袈裟に首を傾げるミノに思わず笑っちゃうけど
まさか僕がユノさんの恋人です、とも言えないし///
一人でそんなこと考えてると、なんだか暑くなって来ちゃって思わずパタパタと顔を扇ぐ
ミノはそんなこと御構い無しにデザートメニューを覗き込んでて、まだ食べるつもりなのかな(笑)
ああ、午後の風が気持ちいい
「何赤い顔してんの?」
不意に声をかけられて顔を上げると、そこには不機嫌そうな顔をしたユノさんが立っていたんだ
. うちの家政婦さん 2
~Cside~
「えっと、ここだよね」
地図アプリを見ながらキョロキョロと辺りを見回す僕、うん、ここであってる!!
時間はぴったり9時10分前!!
今日は緊張の家政婦1日目、一応初顔合わせって事で時間は指定されていて
契約の時間としては朝の8時から夕方5時までになっているけど
……仕事の都合上変更もあるとかないとか
パートさんだったら対応できないかもだけど、僕だったら時間に融通は利くから
それにあちこち行かなくていいのはとっても助かるんだよね
午前中はここで午後から別のところ、とか言われると移動が大変だし
一つ息を吐いて緊張しながらインターホンを押す、と、暫くすると不機嫌そうな返事が返ってくる
『………はい、誰?」』
「あ、あのチョンさんのお宅ですか?僕トーホーサプライから来ましたシムと申しますけど」
『………トーホー?……ああ、ドンへの奴がそんなこと言ってたっけ、何、ハウスキーパーってこと?』
「あ、はい///」
『開けるわ、入って』
「あ、ありがとうございます///」
エントランスを潜ってエレベーターへと乗り込む、なんか寝起きっぽい?っていうか声も若そうだったけど
小説家だって話してた、よね?///
そういや年齢とか聞かなかったっけ、勝手に中年のおじさんのイメージだったけど違うのかもしれないな
とりあえずは気に入って貰わないと、だよね!!
エレベーターを降りて部屋の前まで歩いていくとドアの前で深呼吸をする
そして僕は思い切って部屋の前のインターホンをゆっくりと押したんだ
. 好きがとまらない 18
~Yside~
「チョン係長おはようございます」
「ああ、おはよう」
今朝は朝から本社で会議があるから家から直接こっちにやってきた
受付の女の子達が笑顔で会釈してくれる、こういうのも久しぶり、だよな
距離的には変わらないけど、こっちの方がオフィス街に近いから便利なんだよな
……社長もどうするつもりなんだか
「よおユノ!!」
「おおシウォン!!」
声をかけてきたのはデザイン部のチェ・シウォン、俺とは同期で入社当時はよくつるんで遊んでたもんだ
最近はデザイン部も忙しいって言ってたな
「元気そうだな」
「ああ、お前もな」
「そういやミノから連絡があって誘われたんだけど、お前も行くよな?」
ああ、そういやミノがデザイン部にも声をかけるとかかけないとか話してたっけ
「ああ、例のピクニック、ね(笑)」
「それそれ!!なんなんだよピクニックって!!(笑)」
豪快に笑うシウォンは俺の肩をバンバンと叩く、この歳になってピクニックに誘われるとか、やっぱりちょっと笑っちまうよな
「それならいっそバーベキューにしたらよかったのに」
「なんでも河川敷がバーベキュー禁止なんだと」
「はぁん、場所なら提供するのにな」
そう言って顎に手を当てるシウォンは不敵に笑う、そうだった、こいつの家って凄え金持ちだったっけ
「さあ、ミノに言ってやったら?」
「ああ、それよりチャンミンも来んのか?」
「……は!?」
「シム・チャンミンだよ!!春から営業部に行ったろ?会えるの楽しみにしてるって伝えといてくれよな!!」
そう言ってシウォンは俺の背中をバシバシと叩くと、呆然とする俺を残して豪快に笑いながら去って行ったんだ
. うちの家政婦さん 1
~Cside~
「………え?小説家の先生、ですか?」
「ああ、昔っからの知り合いなんだけどね、なんつーか部屋が汚くて」
「は、はあ///」
「ま、なんとかしてやってくれよ、男の一人暮らしなんて世話したくないだろうけどさ」
「あ、いえ……仕事ですので」
そう言って僕の肩を叩くイさんは大きく溜息をついた
ここは家事や掃除の代行を行うトーホーサプライという会社で
先日転職してきたばかりの僕は、主任であるイ・ドンへさんに仕事内容の説明を受けていたところだった
なんでも知り合いの家の家事を代行してやって欲しいとか
……まだ入ったばかりなのに、緊張しちゃうな
僕の名前はシム・チャンミン、家政婦歴は2年になる
男のくせに家政婦なんてって言われるけど、もともと家事は好きだし、男だから力もあるし
結構重宝がられてるんだ///
前に勤めていた会社が社屋ごと別の場所にに引っ越すことになって、遠方になるからここの会社を紹介してもらったんだよね
今回が初めての仕事だからやり遂げないと
前は指名も多くて結構有能だって言われてたから自信もある
流石にベビーシッターまではした事がないけど、離乳食を作るくらいはお手のモノだし
ま、今回は独身男性のお宅だから関係ないよね
しかも小説家の先生だとか、いったいどんな方なんだろう
家政婦の仕事は雇い主に干渉しないのが当たり前だけど、どんな本を書いてる人なのか興味はあるよね
とりあえず今日は本社で研修を受けて、明日からそのお宅に家政婦として通うことになったんだ
. 好きがとまらない 17
~Cside~
「…え?デザイン部の人も一緒に?」
「ああ、ミノが話してた」
「そ、ですか、なんか緊張しちゃうな///」
「気にすんなよ、俺がいるだろ?」
そう言って僕を見つめるアーモンドアイ、あまりのかっこよさにクラクラしちゃうのに
至って本人が無意識なのがタチの悪いところ、だよね///
今日は久々に二人で外回り、やっぱりまだ一人では不安だからユノさんがいると安心できる
そもそも僕ってば営業に向いてないのに……
とりあえず今日の予定を終えて車の中でちょっとした休憩時間
川沿いにある駐車場は夕暮れ時で人っ子一人いやしない
……どうしよう、ドキドキしちゃう///
買ってもらったコーヒーをチビチビと飲みながらチラリと様子を伺う
さっきから容赦なく送られてくる甘い視線に耐えきれず顔を逸らすのに、お構い無しに肩や頬に触れてくるから過敏に反応してしまうよ
「また警戒してる(笑)」
「し、してないです!!///」
「ふうん?じゃあ期待してる?」
「なっ!!///」
「あーはーはーは!!俺は期待してる、チャンミンキスしたい」
「ダ、ダメ……んっ///」
手に持っていたコーヒーをあっという間に取り上げられると、抗議の言葉ごと口を塞がれてしまう
いくら周りに人がいないからってこんな明るい時間に!!///
必死に押し戻そうとするのに段々と深くなるキスに身も心も蕩けてしまいそう
「今日一日頑張ったご褒美な」
「……な、なんですか、それ///」
離れた途端に不敵に笑うあなたが余裕すぎて、思い切り睨み返してしまった僕だったんだ