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苺な彼とビールな僕

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. 好きになってもいいですか? 63






~Yside~




酔って力が入らないくせにフニフニと抵抗を繰り返すチャンミン、どうしてもシャワーが浴びたいらしい


「このままでいいのに」


「ら、らめっ……僕、居酒屋の匂いするしっ…/////」


「ふふ、居酒屋の匂い?ここからは甘い匂いしかしないよ?」


露わになった首筋に唇を寄せると、途端にピクンと体を跳ねさせるから唆られる



「……あっ…ん……ほんとにらめっ/////」



ベッドの上でシャツをはだけてイヤイヤと首を横にふる君に、ちょっと意地悪をしたくなる


俺は白い肌に強めに吸い付いて、赤い跡を残してやったんだ


「……っ!!ユノしゃん、な、なにしたんれすかっ?/////」


「キスマークだよ、知ってる?」


「キキキキキキ、キスマーク!?/////」



真っ赤になって固まる君が愛おしい、キスマーク1つでこんな反応ならこの先はどうなるんだろう、なんて余計な心配をしてしまうけど


「一緒にシャワー浴びよう?」


「ひ、1人でっ、らいじょうぶっれすからっ/////」



ベッドから転がるように飛び起きて、フラフラとバスルームへ向かう君はやはり途轍もなく愛おしい


バタンと扉を閉めるとシャワーの音が聞こえて、中での君を想像してしまう


俺ってほんとに余裕ない……


大切にしたいって思うのに、早く自分のものにしてしまいたいと思ってる


矛盾してるよな(笑)



そういえば着替えは持って入らなかったけど……まあ、いいか…どうせ直ぐに脱ぐことになるんだし


恐らくチャンミンは気づいてないんだろうけど、バスルームを出てからの反応が楽しみだ、なんて


俺ってこんなだったっけ、って自分で苦笑いしてしまうんだ
























. あなたの匂いに包まれて ~再会~ 10







~Cside~





「初めまして、パク・ジョンスです」




にっこりと笑って名刺を渡すパクさんは、とても人当たりの良い人で、初対面とは思えないほど話しやすくて



「初めまして、シム・チャンミンです/////」


「いやあ、ユノから聞いていた通りの方だ、本当に美人ですね」


「……えっ?/////」



クスクスと笑いながらパクさんはお土産のチキンを渡す、なんだか見透かされてるみたいでバツが悪い/////



「それで、専属スタイリストの件は受けていただけますか?」



いきなり本題に入られて、僕は危うくトレーに乗せたお茶をこぼしそうになってしまった



「……パ、パクさん、そのお話なんですが…」


「とりあえず、これ、見てもらえませんか?」



パクさんが差し出したのは一枚のDVD、それはユノのサバイバル番組への挑戦のドキュメンタリーだった



僕がユノのダンスを見たのは初めてで、魂が宿る、というのはこういうものを言うのだろう


指先1つ1つの動きにも表情があって、それでいてキレがあり、まるで物語のようだった


そして切なげに歌い上げるバラードは、情熱的なダンスとはまた違い、聴く人の心を魅了していく



……天性、そんな言葉がぴったりと当てはまる



気付けば涙が頬を濡らしていて、僕は思わず顔を隠した



「ユノからずっと聞かされていました、ある人の為に自分は頑張っている、その人に恥ずかしくないように生きたいんだ、と」


「……パクさん/////」


「ユノの願い、一緒に叶えてやっては貰えませんか?」



僕はパクさんの言葉に、胸がじんと熱くなるのを止められなかったんだ










































. 好きになってもいいですか? 62






~Cside~




なんだかふわふわといい気持ちで、あれ…確か飲み会に行っていたのに、僕……?


「チャンミン着いたよ、歩ける?」


いつの間に車に乗ったんだろう、僕は助手席に座っていて、隣からユノさんが僕の顔を覗き込んでいて


「……ユノしゃんなんれここにいるんれすか?/////」


「飲み過ぎ」


「……へ?あの…んっ/////」



シートベルトをカチリと外し、そのままユノさんの顔が焦点が合わないほど近づいて


ちゅっ、ちゅっ、と何度か口付けると離れる唇、いつもより目が鋭い気がするのは気のせい……?/////


ふらつきながらもどうにか部屋へとたどり着くと、腕を引かれ寝室へと連れていかれる


「……ユ、ユノしゃん?もう寝るんれすか?」


「ん?あんまり可愛いから食べようと思って」


「た、食べ……!?/////」


少しずつハッキリとしてくる意識、そうだ、僕飲み過ぎたんだ、だって体が言うことを聞いてくれないし



「こんなに酔っ払って、誰かにテイクアウトされたらどうするの?」


「え……ええ?テ、テイク…?わっ!!/////」


ベッドにぽふんと寝かされて、シャツのボタンをプチプチと外すユノさんはやっぱりちょっと怒ってるみたい



【お風呂も入ってないのに、きっと僕臭いよ……新しい下着も持ってきたのに】



「ふふ、新しい下着?」


「……っ!!ま、また!!/////」


「準備してくれてたんだ」


「……ら、らって!!/////」


「それ着けたとこみたいな、一緒にシャワー浴びる?」


「……!!!!む、無理れす/////」



【……ユノさんて時々強引だって思う、嫌じゃないけど、顔から火が出そうだよ/////】



「ふふん、嫌じゃないんだ?」


「……っ!!/////」



やっぱり心の中をサラリと読まれて悔しくて、意地悪そうに笑うユノさんを思いっきり睨んでやったんだ
























. あなたの匂いに包まれて ~再会~ 9







~Yside~




いつの間に眠ってしまったんだろう、チャミの腕の中で、ただ甘い温もりだけを感じて



目を覚ましたのはとうに昼を回っていて、隣に居ないチャミを探してリビングのドアに手をかけた



……ボソボソと聞こえる話し声、誰か来てる?ああ、マネージャーのパクさんだ、でも、チャミの声がなんだか震えている……?



「……そう、でしたか……グスッ」


「はい、色々なことがありました」



……泣いてる!?



「チャミ!!」


バタン、とドアを叩くように開いてリビングのソファで話す2人の元へと駆け寄る


突然の俺の勢いに目を丸くしたパクさん、チャミはやっぱり泣いていたみたいで顔を逸らしてしまった



「チャミに何言ったの!?」


「……何も言ってないよ、今までの経緯を話しただけだ」


「……でもっ!!チャミ泣いてる!!」


「……グスッ、ユノ、待って、僕が勝手に泣いてるだけなんだって……グスッ」


「まあまあ落ち着けって、なんだその頭は、寝癖で全部立ち上がってるじゃないか」


そう言われれば毛布に包まったまま眠ってしまって、頭に手をやればバサバサの髪が見事に立ち上がっていた


「……ぷっ、ユノったら//////」


目の端に涙を溜めてるくせに今度は吹き出すチャミ、何なんだよこっちは心配してるのに!!


「とりあえず僕はこれで、ユノ、また明日来るよ、チャンミンさんお会いできてよかった」


「はい…/////」



恥ずかしそうに俯いてしまうチャミ、何でそんな赤くなってんだよ!!


睨みつける俺に苦笑いしながら、軽く手をあげてパクさんは帰っていった


「ユノ、シャワー浴びてきて?」


「……」




チャミは黙ってしまった俺を宥めるように抱きしめて、ふわりと笑って優しいキスをくれたんだ

























. 好きになってもいいですか? 61






~Yside~




ちょっと早い気もするするが、落ち着かないし、ドライブがてらチャンミンを迎えに行こう車に乗り込んだ


ちょうどスマホにはチャンミンからのメッセージが届いていて


『ユノさん、キュヒョンです!!今どこにいますか?』


あ……れ?キュヒョン?いや、チャンミンからじゃないのか?


でもメッセージのアイコンは間違いなくチャンミンだし、何かあったのか?



『ちょっとチャンミンが酔っちゃって、迎えに来る予定だったんですよね?あの…どれくらいで来れますか?』


『ちょうど出るところだったんだ、30分以内に着くよ』


『わかりました、待ってます!!』



……そんなに飲んだのか?ったく、しょうがないやつだ



急いで車を走らせると店の側に車をつけた、キュヒョンに着いたとメッセージを送ると待つこと数分、聞こえて来るのはご機嫌な君の声で



「らいじょうぶらってば~1人で歩けるっれ」


「はいはい、大丈夫なんだよね、ユノさんが来てくれたからそこまで頑張って」


「ん~ユノしゃん?がんばっちゃう~」


「ちょっ…!!待て待て!!僕はユノさんじゃないって!!」


「ユノしゃん♡」


「ひいいっ!!のしかかってくんなって!!」



車の外に出ると、まるでコントのような千鳥足でキュヒョンに支えられながら歩く君がいて



これはもう1人では飲みに行かせられないな(笑)



「あっ!!ユノさん!!(泣)」


「キュヒョンすまない、世話をかけたね」


「いいんですよ、なんかカクテル大量に飲んじゃったみたいでこんなになっちゃって……ほんとすいません」


「チャンミンおいで」


「…あい♡」


グダグダなチャンミンをキュヒョンから受け取ると、彼は申し訳なさそうにぺこりと頭を下げた


俺はどうにか助手席にチャンミンを座らせると、急いで家へと車を走らせたんだ



























. あなたの匂いに包まれて ~再会~ 8






~Cside~




……俺のこと待ってなかった?



絞り出すようにユノの口から出た言葉、誤解させてしまった?




待ってない訳がなかった……




たった2日しかいなかったのに、君は僕の心の半分以上を占めていて、それでも、あまりに突然の出来事に現実を受け入れられない僕がいて



おかえりの言葉も言っていなかったよね

ごめんねユノ



『にゃあ』と一言鳴いたユノは、僕の腕の中で安心したように眠ってしまった



伏せるとわかる長い睫毛はやっぱり涙で濡れていて、僕は眠ったままの君をずっと抱き締めていた



折角フカフカのベッドがあるっていうのに床で2人で抱き合って、それでも君がここにいる事がとても幸せで



深い眠りに落ちたユノを横にして、痛くないようにクッションを沢山敷くと、毛布をかけて僕はそっと部屋を出た


置きっ放しのスマホにはマネージャーのパクさんからのメッセージ、昼前にはこちらに着くとのことだった



……どう、しようか



とりあえずは顔合わせで、それから本契約の話になるはずだから、話をして、それからでも遅くないかな


だって離れられそうもない、こんなにも愛おしさが込み上げてくるなんて



そして何よりユノを傷つけたくないから……



何が一番良い方法なのか、ぐるぐると考えながら、僕は1人パクさんが来るのを待っていたんだ






























. 好きになってもいいですか? 60






~Cside~




「どうしたチャンミン、飲んでるか~!?」



酔っ払ったシウォンさんがグラスを持って隣に座ると、今日何度目かわからない乾杯をさせられて僕は小さく溜息をついた


学祭の話も勿論あったけど、最初の30分ぐらいで終わっちゃって、後はすっかり宴会モードに突入してしまった


結局うちのサークルで何をするのかもよくわからなかったけど、どうやらカフェをするらしいからウエイターをやれ、とかなんとか言われたような


はあ……帰りたい/////


なんとか二次会だけは回避したいって思ってる、さっきユノさんからメッセージも届いていたし


『近くまで迎えに行くよ』


なんて、女の子みたいな扱いだけど、実は嬉しかったりして/////


だってその方が早くユノさんに会えるし/////




もはや無法地帯と化した個室は、総勢30人ほどの部員が入り乱れて、女の子を口説く人もいれば、寝ている人もいる


しつこいシウォンさんに何度もビールを注がれてしまったけど、もうお酒はいいかな…



……顔は赤くなるけど、酔ってるってほどじゃない、もしかしたら僕って割と飲める方なのかも



キュヒョンと何か盛り上がり始めたシウォンさんの横をそっと抜け、何か別の飲み物はないかと探してみる



隅のテーブルには注文したものの誰が頼んだかわからずトレーに放置されたままのグラスが幾つかあった


その中でも綺麗な色の飲み物をえらんで僕はゴクリと飲み干した、なんだお酒じゃなくてジュースだったんだ


色とりどりのグラスはフルーツが飾られてるのもあったりして、もしかしてデザート的な飲み物なのかな?スムージーもあるし


調子に乗ってアレコレ試していたら、なんだか身体がふわふわとして気持ちよくなってきた


「ちょ……!!チャンミン、何飲んでんの!?」


「ああ~キュヒョン、このジュースおいひいよ~」


「チャンミン!!それって!!」


「ん~~?」



そのジュースみたいな飲み物が、誰れかが酔って大量に頼んだカクテルだったなんて、この時の僕は全く気がつかなかったんだ





























. あなたの匂いに包まれて ~再会~ 7







~Yside~





真夜中に無理してでもここに帰って来たのは、チャミを驚かせたかったのと、何より俺が逢いたかったから



だけどチャミはそうじゃなかったのかな…?



もしかしたら俺だけがチャミを思っていて、チャミは俺のことなんてなんとも思ってなかった?



暫く1人にして欲しい、と、逃げるように部屋を出て行くチャミの背中は、俺がアメリカにいた頃より遠く感じて、胸がぎゅっと締め付けられる



さっきのキスで俺達は同じ気持ちだと感じたのに…!!



毛布をすっぽりと被って、泣きそうな自分をなんとか誤魔化した



あまりにも急ぎ過ぎたのかな、俺だけが先走って、頭の中ではすっかりチャミが恋人だったから、動揺させてしまったのかもしれない



もう一度話がしたいって思うけど、怖くて部屋から出られない、もし、チャミに拒絶されてしまったら……?



暫くするとノックの音が聞こえてチャミがそろりと部屋へ戻ってくる



困ったように眉を下げるあなたは、やっぱりとても綺麗で見惚れてしまう




『俺のことなんて待ってなかった……?』



言葉にするだけで涙が溢れそうで、俺は毛布を深く被って膝を抱えた



ふわりと香る甘い匂い、気付けば俺はチャミの腕の中にいて、ぎゅっと抱き締められるとポロリと涙が溢れた



「……チャミ?/////」


「…まだ言ってなかったよね」


「……え?/////」


「ユノ、お帰りなさい」



チャミの言葉に胸の奥が熱くなる、ああ、やっと俺はあなたの元へと帰ってきたんだ



そっと背中を撫でる手はどこまでも優しくて、俺は返事の代わりに『にゃあ』と一声鳴いてみたんだ

























. 好きになってもいいですか? 59






~Yside~



今日はいよいよ飲み会の日、午前だけバイトに来ていたチャンミンは申し訳なさそうに泊まりの荷物を置いていった


ふふ、今夜から2日間は一緒にいられる


パンパンに詰められたリュックには何が入っているのか興味津々だけど(笑)



楽しみにしてくれていることが嬉しくて……



そういえばお酒は強い方だったかな、あまり一緒に飲む機会がなかったし、よくわからないな



たまに晩飯のときにビールを飲んだくらいか、アルコールでホワンとしたチャンミンは壮絶に色っぽいから……


目尻が赤く染まり頬は上気して

潤んだ瞳はとろりと蕩けそうで……



あれこれぐるぐると考えていたら心配になってきた、まさか酔ってテイクアウト、なんて事はないよな?


これはひょっとしたら迎えに行った方がいいのかも、キュヒョンがいるから大丈夫とは思っていたけど


それでも仕事中は気も紛れていたけど、一旦家に帰ると段々と心配が募ってきて


……まるで嫁の帰りを待つ旦那みたいじゃないか(笑)


晩飯もそぞろに部屋の中をウロウロと歩き回る、7時スタートって言っていたから早ければ9時とか?
いや……そんなに早くは終わらないか、10時くらいだろう


二次会には行かないって言っていたけど、アワアワしてるうちに連れて行かれてしまいそうだ


スマホを覗くとチャンミンからのメッセージ


『二次会には断固として参加しませんから!!』


バンビがハチマキをしてガッツポーズをしているスタンプも一緒に(笑)


『近くまで迎えに行くよ、終わったら連絡して?』


そんな余裕のメッセージを送ったけれど、本当は心配で居ても立っても居られなかった、なんて、君には内緒にしておくよ






















. あなたの匂いに包まれて ~再会~ 6







~Cside~




突然のユノの登場に頭がついていかない、説明されたような気もするけど全く状況がつかめなくて


どうにか体を離して落ち着こうとおもうけど、ぐるぐると頭の中はパニック状態で



「……チャミ?」


「……ち、ちょっと、取り敢えず待って!!何が何だか……」


「ねえ、チャミ……聞いて?」


「お、お願い、ちょっと1人にして?……あ、ここで寝ていいから、ね!!」



僕は慌ててベッドから降りると、ユノを部屋へ残してキッチンへと向かった



壁にもたれて大きく息を吐いて、冷蔵庫からミネラルウォーターを出しゴクゴクと飲み干した



……ユノは『UK』で、新人アーティストで、今からデビューする……で、スタイリストは僕で……恋人になって……だって!?/////



そ、そんなのダメに決まってる!!/////



これからデビューする新人の恋人が男だなんて!!



……断らなきゃ、絶対にユノの為にならない



ユノの夢を邪魔する権利なんて僕にはないんだ、朝にはマネージャーさんが来る事になってるし、でも、なんて言えばいいんだろう



そりゃあ僕だって会えて嬉しかったけど……/////



暫くキッチンで座り込んでぐるぐると考えていたけど、とにかくもう一度ユノと話さなきゃ


僕は部屋の前で一度深呼吸をしてから、ノックをして中へと入った


ユノはベッドの下で毛布を頭から被って蹲っていて、深く俯く姿はまるで捨て猫のようで胸が痛くなった



「…ユノ?」


「……チャミは俺に会えて嬉しくない?」


「……え…?」


「遅くなっちゃったけど…俺、チャミに会うために……もしかしてチャミは俺のことなんて待ってなかった……の?」



チラリと僕を見上げて悲しそうに曇るアーモンドアイ、ああ、胸が潰れてしまいそう




大きな体を小さく1人で抱え込むユノを、俺は抱きしめずにはいられなかったんだ





























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紫苑☆

Author:紫苑☆
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