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. 空色の調べにのせて ~リウの翼~ 12
リウの番外編です*ˊᵕˋ)੭
~15years after~
~Cside~
『ずっと好きだった』
リウの腕の中にすっぽりと抱き締められて、背中から囁くリウの声は少し震えていた
…幼かった君は、いつの間にか僕より大きくなって、いつの間にか大人になって
「…どうかしたい訳じゃないんだ、ただちゃんと伝えたかった」
「…うん、そうかなって思うときもあった/////」
「うん?」
「でも、気付かないフリをしてたんだ、僕ってずるいよね」
「…ううん、そんなことないよ」
「…あのさ、この前僕にキスした?」
「……した」
「…/////」
パッと身体を解放されて、ホッと息を吐く、振り返ればリウはクスクスと肩を揺らして笑っていた
「チャンミン緊張しすぎ(笑)」
「…だ、だって/////」
「言ってスッキリした、俺ってすげぇ一途じゃない?」
「…リウ」
「あ、謝んなくていいから、フラれたってやっぱりチャンミンは俺の憧れの人なんだ」
「…ありがとう/////」
リウはにっこりと笑って立ち上がると、オレンジ色に染まった部屋のガラスに手を添えた
遠くを見つめる横顔はどこを見てるんだろう
ねぇ、リウ、僕たちは長い年月同じ時を過ごしてきたよね、いっぱい話して、いっぱい笑って、いっぱい泣いて
親子でも、兄弟でも、恋人でもない
それでも君は僕の大切な家族なんだ
君の背中には翼が見える、これから新しい世界へと旅立つための白い翼が
君が羽ばたく未来へ、僕が出来ることは静かに見守ることだけ
リウ愛してる
僕は一回り大きくなったリウの背中に、幸せな未来を願わずにはいられなかった
. SILVER MOON 27
~Yside~
「…ったく、なんなんだよっ!!」
声を荒げる俺をドンへがまあまあ、と抑えて宥めようとする、あーほんとムカつく!!
俺がチャンミンをお姫様抱っこして保健室に運んで以来、妙な噂が立っちまって、うちの学校の広報部は号外を出して面白おかしく書きたてた
お陰でシウォニヒョンには呼び出されて事情は聞かれるし、親からも連絡があって自重しろだの帰ってこいだの、俺は身動きが取れなくなってしまった
チャンミンに連絡しても『今は大人しくして、パパラッチが嗅ぎ回ってるよ』ってやけに冷静なメッセージが届いた
セレブにはパパラッチが付き物だ、なんて誰が言ったのか知らねーけど、なんで高校生なのに私生活まで監視されなきゃいけねーんだよ!!
ドンへには事情を話したから同情半分、面白がってるの半分で相談に乗ってくれる
ありがたいようなありがたくないような…
…会いたいって思ってるのは俺だけかよ!!
「…でもさあ、ユノってシム先生とマジで付き合ってんの?」
「…へっ?/////」
ドンへの質問に今迄の行動を思い返す、偶然出会って、忘れられなくて、また会いに行って…
まるでドラマみたいだって酔いしれてた/////
でも、まてよ、俺は好きって言ったけどチャンミンには好きって言って貰ってないような…いや、無い!!
押し倒してキスして体を撫でたりしたけど…
「ドンへ、俺しか好きって言ってない(汗)」
「…はぁ?なんだそれ!!それじゃシム先生って完全なる被害者じゃねぇの?」
「…被害者」
「ちゃんとお付き合い申し込んでからじゃねーとキスとかしちゃいけねーんだぞ?」
やけに真面目なドンへに思わず笑ってしまうけど、これはやっぱり会いに行かなきゃ!!
「ドンへ悪い、俺やっぱ帰るわ」
「…へっ?おい!!夜は出んじゃねーぞ!!」
ドンへの声を遠く後ろに聞きながら、俺は走り出していたんだ
. 空色の調べにのせて ~リウの翼~ 11
リウの番外編です*ˊᵕˋ)੭
~15years after~
~Rside~
『チャンミンの中では俺は4歳のまんま?』
俺の言葉に驚いて瞳を大きくする、少し茶色の瞳に映るのは嫌になるほど父さんにそっくりな自分の顔
チャンミンはいったん目を伏せて、何かを決意したように俺を見据えた
「…リウ、あのね」
「チャンミン待って!!」
やっぱりダメだ!!薄く開いた唇から溢れる言葉が怖すぎて思わずチャンミンの腕を掴んだ
驚いて身を捩るからくるりと体を回して背中から逃がさないようにがっしりと抱き締める
「…っ!!リ、リウ!!/////」
「…このまま聞いて、何もしないから」
「……/////」
強張る体からゆっくり力が抜けるのがわかった、俺は一つ息を吐いてチャンミンの背中に額をつけた
「…父さんにさ、小さい時チャンミンに告白するなら背が同じくらいになってからにしろって言われてたんだ」
「…リウ/////」
「だからね、牛乳もいっぱい飲んでさ、バスケもやって背が伸びるように頑張ったんだ」
「……/////」
「だからその甲斐あってチャンミンに追いついた」
「…リウ、あの…/////」
「でもさ、ずっと言わずにいようって思ってたんだ、言ったらチャンミンがこの家から出て行ってしまうんじゃないかって思って」
「……/////」
「ずっと、ずっと好きだった」
俺は、目をぎゅっと瞑ってチャンミンに15年分の想いを伝えたんだ
. SILVER MOON 26
~Cside~
見られてしまったし、聞かれてしまったし、ちょっとどうしていいかわからないほどパニック状態だった
「シム先生落ち着いて、大丈夫、誰にもいいませんから」
にっこりと笑って椅子へ座るように促すテミン先生『誰にも言いません』だなんて/////
「すいませんお騒がせして」
「いえいえ、あんなチョン君は初めて見ました、なかなか新鮮でしたよ?」
「…は、はあ/////」
「でも、気をつけたほうがいいですよ、この学校にはパパラッチ並みの広報部がありますからね」
「…へっ?/////」
「ふふふ、『眼鏡の奥に隠された魔性の瞳に惑わされるチョンユンホ』なんてね(笑)」
「…は、はあ/////」
お茶しかないんですが、と、出された飲み物を口に含む、チラリと様子を伺うと窓の外を見るテミン先生、ずいぶんと憂いを秘めた様子なんだけど…
「…生徒との恋なんて、スリリングで楽しそうですけど実際にはそうもいかないもんです」
「…テミン先生…?」
「またお茶でも飲みにいらしてください、相談にのりますよ」
「は、はあ/////」
「シム先生には色々と秘密がありそうですし(笑)」
「…っ!!!/////」
テミン先生はくるりと振り返ると大きな眼をキラキラさせて、悪戯っぽく笑ったんだ
. 空色の調べにのせて ~リウの翼~ 10
リウの番外編です*ˊᵕˋ)੭
~15years after~
~Cside~
夕方には帰るというリウをピアノの部屋で待っていた、ベランダ側のガラスには夕陽が映し出され部屋をオレンジに染めていた
…僕がここに来て15年
ピアノに一礼して鍵盤の前に座る、一つ息を吸い込んで指で一つの音を弾き出す
ポーン
あの日、若かったピアノも僕らとともに年齢を重ね、重みのある音へと変化を告げる
右手から溢れる旋律に左手が追いかけるように音を奏でる
バッハのインベンション
独特のメロディが追って追われて重なるように流れる、指が鍵盤を舞い僕はピアノと一つになる
リウのピアノの練習曲として買ったこの教本、個人レッスンで教えるようになってからメキメキと上達し、周りも驚く程の上達ぶりだった
リウが気に入ってよく弾いていたこの本は、使い込まれてボロボロになってしまったけれど、僕の大切な思い出の一つ
…今はもう辞めてしまったピアノ
「…チャンミン」
後ろから声を掛けられて慌てて振り向く、リウが少し複雑な顔をして部屋の入り口に立っていた
「おかえりなさい、ほら入って?」
「…ああ、話って?」
「ん、こっち来て?」
僕はピアノを閉めてリウをソファへと促した、二人で向かい合って座るとなんだか照れ臭い、それはリウも同じ様でバツの悪そうに視線を逸らした
「…リウ、アメリカにね、これ持って行ってほしくて」
「なに?」
「デジタルフォトフレーム、リウの小さい頃からの写真入れといたから」
「…ずっとこれ作ってたの?」
「…ふふ、うん、いつも見入っちゃって進まなくてね」
「…チャンミンの中ではさ、俺は4歳の子供のまんま?」
不意に真剣な表情で僕の顔を覗き込む、見たこともないような大人びたリウに僕はドギマギとして俯いてしまったんだ
. SILVER MOON 25
~Dside~
『触んな!!』
そう言ってユノはシム先生を横抱きにして颯爽と去っていった
…なんだアレ/////
周りにいた奴らも何が起こったのかよくわからないみたいだ…だってさ!!
チャンミンって呼んでたし!
触んなって言ってたし!
お姫様抱っこだし…!!!/////
それってどっからどう見ても恋人扱いじゃねーのか?いや、先生だし、男だし、接点見つかんねーし(汗)
『とりあえず皆試合に戻ろうぜ、シム先生はユノに任せよう!!』
『お、おお』
チームのキャプテンが気を回してフリーズする奴らに告げると、首を傾げながらも皆グラウンドに戻って行った
残されたのはシム先生のメガネ、レンズが割れちゃってるけどこれって度入ってないんじゃね?
…届けに行くか、面白そーだし(笑)
俺はなんだかワクワクしながら保健室へと向かった
保健室のドアは少しだけ開いていて、中から話し声が聞こえる、悪いとはおもうけどちょっとだけ盗み聞き(笑)
『お、おい、チャンミン落ち着けって!!』
『 だから名前で呼ぶなって!!/////』
『あーもうチョン君はいいから、ほら出て行きなさい』
不機嫌そうなテミン先生の声がしてユノが保健室から追い出された!!なんだよその情け無いツラは(笑)
「…ドンへ」
「説明してもらおーか?」
ニッコリ笑って肩を抱くと、ユノは盛大に溜息をついたんだ
. 空色の調べにのせて ~リウの翼~ 9
リウの番外編です*ˊᵕˋ)੭
~15years after~
~Yside~
リウがチャンミンを慕っていることはわかっていた
幼い頃からの想いはやがて憧れから恋に変わり、熱い眼差しでチャンミンを見つめる息子、俺は気付かぬふりをするしかなかった
チャンミンはというと…リウの気持ちなんてお構い無しに昔から変わらない態度、少しは気付いているんだろうか?
他人の事ならすぐに気のつく君も、自分のことには鈍感なところがあって、天然というか、天使というか…
ま、そんなところも好きなんだけどね(笑)
リウがアメリカに行くと言いだしたときは、ぎゅっと唇を噛んで考え込んでいたけれど、たくさん話し合って、リウの決意を納得のいくまで聞いてやっていた
俺にはカバー出来ないところをさり気なく気遣ってくれる君を本当に愛おしいと思う
俺が居ない間に、二人に何かあったことは明白で、不安そうに俺に寄り添う君は視線を泳がせる
リウの気持ちに気づいてしまった?告白でもされたんだろうか、気にはなるけど問いただすわけにもいかないし…
リウは若い、魅力に溢れてる
それに比べれば俺は随分くたびれたオヤジじゃないか?…こんなことを考える俺って本当に情けない(笑)
リウのことはチャンミンに任せるしかないから、俺は帰れば君を抱き締めるだけ
『信じてるよ』なんて安い言葉は言いたくないんだ、悪いけど一生離すつもりなんてないから
チャンミン愛してる
俺の胸に寄り添う君に、想いを込めて口付けたんだ
. SILVER MOON 24
~Tside~
『テミン先生!!ボールが当たって倒れたんです!!診てください!!』
凄い形相で保健室に飛び込んできたのは三年生のチョン・ユンホ、知る人ぞ知るイケメンだよね
腕の中に大切に抱えてる人は臨時講師のシム先生?そんな必死な顔しちゃって、変に勘ぐってしまうんだけど(笑)
シム先生をベッドに寝かせて心配そうに手を握るチョン君、倒れてお姫様抱っこで運ばれてくるなんて、まるで少女漫画じゃないか
眼鏡をとったシム先生は閉じた瞼を覆う長い睫毛、艶々のほっぺ、綺麗な寝顔が眩しい美人さんだった
「軽い脳震盪だよ、すぐに目が覚める」
「本当に!?病院とか行かなくて大丈夫ですか!?」
白衣を掴んで詰め寄る彼をなんとか宥めてベッドの横の椅子へと座らせてカーテンを閉めた
…この二人って一体?
愛おしそうにシム先生の髪を撫でるチョン君、ねえねえ、そんな風に見つめたらダダ漏れなのわかってるのかな?
チョン君はシム先生の眼が覚めるまで動かないだろうし、コーヒーでも買いに行こうかと考えていた
チョン君も飲むだろうかとカーテン越しに声をかけようとした途端
『……んっ、ユノ…や…んんっ!!』
ドカッ!!
「…ってぇ~チャンミンひでぇよ(泣)」
「…このっバカッ!!/////」
「本気で蹴るか普通…あ、テミン先生/////」
蹴られて見事に転げ落ちたであろうチョン君は、僕を見上げて照れ臭そうに笑ったんだ
. 空色の調べにのせて ~リウの翼~ 8
リウの番外編です*ˊᵕˋ)੭
~15years after~
~Rside~
結局俺はその夜遅く家に戻った、チャンミンから何度も連絡があり、心配しているから早く戻るようにとメッセージが送られてきていた
…ったく、心配性なんだから
カードキーでロックを解除し、玄関からリビングへと顔を覗かせると、父さんとチャンミンがソファで寛いでいた
パタパタと俺に駆け寄るチャンミン、顔色もいいし、すっかり良くなったみたいだ
「リウ!!おかえり、あの…昨日はごめんね、倒れたりして/////」
眉を下げながら頬を赤らめて俺に謝るその姿、見ているだけで抱きしめたくなるんだ
「もう平気なの?」
「うん、リウが看病してくれたんだよね、ありがとう」
キラキラした瞳で見つめられるといたたまれなくて視線を逸らした
「よかった、もう若くないんだから無理すんなよな」
「…なっ!!/////もう!!リウったら!!」
「あーはーはーはー、おやすみ」
この様子じゃキスのことは覚えてないんだろうな、そう思うと複雑だけど少し気は楽になった
そのまま部屋に向かおうとするとふいにチャンミンが俺の腕を掴んだ
っ!!/////
跳ねる心臓!!振り返ると宝石みたいに大きな瞳が俺を見つめていた
「…リウ?話あるんだ、明日でもいいから時間とれる?」
「あ、ああ、なんだよ改まって」
動揺を悟られないようさり気なく視線を逸らす、リビングへ目を向けると父さんはこっちを見てないみたいだった
やばい、チャンミンの触れたところが燃えるように熱くなってくる/////
「ん、帰ってからでいいから、また言って?」
「…ああ」
チャンミンはそっと俺から離れると、リビングへと戻って行ったんだ
. SILVER MOON 23
~Cside~
「……う…いた…」
頭を押さえて目を開けた、白い天井?…ここどこだ?
「チャンミン、気がついたのか?」
目の前にはユノの顔、後ろには白いカーテン、ここは…?起き上がろうとする僕の肩をそっと押さえて肩まで毛布を被せる、ここは保健室?
「…ユノ?なんでここに?」
「俺の蹴ったボールがチャンミンに当たったんだよ、ごめん、痛かったろ?」
髪を撫でられてドキドキしてしまう、そんな悲しそうな顔をして、ボールなんて偶々当たっただけなのに
「…ユノのせいじゃないよ?そんな顔しないで」
「ほんとごめん、でもよかった!!チャンミンがこのまま目を覚まさないんじゃないかって…」
僕の頬を撫でながら黒目がちな瞳を曇らせる、ああ、この瞳に僕は捕われてしまったんだな
「…ユノ、心配してくれたんだ」
「当たり前だろ!!」
「ふふ、ありがと」
「…なあ、チャンミンキスしていい?」
「…な、何言って…んっ/////」
ユノは僕の両頬を優しく包むと、言葉ごと飲み込むようにゆっくりとキスをしたんだ