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苺な彼とビールな僕

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. SILVER MOON 1





初めて君に会ったのは

月が銀色に輝く夜だった








~Yside~






「クッソ、コラ!!待てー!!」

「そっちだ!!探せ探せー!!」




ハアハアハアハア、息を切らして俺は走った、ったく!!しつけーなっ!


夜の繁華街の裏手、飲み屋やBARがひしめく路地裏を器用に抜けて後ろを振り返った



…もう、着いてきてないよな?




壁に持たれて大きく息をはいた、キョロキョロと周りを見渡すとあまり見たことがない路地裏に逃げ込んでしまったようだ、しかも奥は行き止まり



「危なかった…」



「…ほんとにね」



「…っ!!!」



人がいるとは思わなくて声も出ないほど驚いてしまった、まったく気配がなかったんだけど?



飲み屋の裏口の扉に凭れてくびを傾げるようにこちらを見る人、細長い手足に小さな頭、ふわりと前髪を掻き上げると零れそうな瞳が露わになった




「…すっげえべっぴんだな/////」



「…僕、男だけど?」



クスクスと口元に手をやって笑うその姿、ヤバイくらい綺麗な男だな、バーテンか?



「こっちじゃねーか?」

「まだそこは探してねーぞ!!」




…ちっ!!しつけーんだよっ!!




「おわっ…とっ!!」



急に腕を引っ張られて店の中に連れ込まれた、ドアがバタンと閉まると綺麗な顔が目の前にあった



「…しーっ!」



人差し指を口元に立てて外の様子を伺う、っつーか、近いんだって!/////



バタバタと足音がしたがすぐに遠ざかっていった、はあ、助かった




「…あ、ありがとう、助かったよ」



「君、未成年でしょ?何やったの?」



「なんもしてねーよ/////」



「…ふーん、何もしてないのに追いかけられたんだ?まさか万引きとか?」



「…ちがっ!!かっ、絡まれてる女の子を助けてやっただけだよ!!」



大きな瞳に見つめられて動けない、う、嘘は言ってねーぞ!!



「…そうなんだ、もう大丈夫じゃない?気をつけて帰るんだよ」



「…あ、ああ/////」



ガチャリとドアを開けて外へと促す



「ほら、血が出てる、これで拭いて、じゃあね」




その人はハンカチを渡すとふわりと笑ってドアの向こうに消えていった





やけに月が綺麗な夜だった…















































. 空色の調べにのせて ~逢いたくて~ 35










~Yside~







まさかウィーンにきてバースデーソングを歌うことになるとは…人生ってわからないものだ



…しかもピアノを弾きながらだなんて



チャンミンは大きな瞳に涙をいっぱい溜めてプレゼントを受け取った、そんなに震えてたら開けられないよ?


「……ユノさん、ありがと…ござ…ふっ…く…」


「チャンミン泣かないで?開けてみて?」


コクコクと頷いて赤いリボンを見つめるチャンミン、丁寧にリボンをといて包みを開けていく



チャンミンに贈ったのは俺が気に入っているブランドのダイヤのピアス、君に似合うと思ったんだ



「…こ、これって…?」


「ずっと気になってた、ピアスホールあるのに付けてないから」


「……あ、もう随分前から忘れてて/////あの、でもこんな高価なもの」


「返品は受付ないよ?」



眉を下げて困った顔で見つめる君、グッと引き寄せて腕の中に閉じこめる、真っ赤に染まった耳に口付けて囁いた


「……ん…や…/////」


「 付けてあげようか?」


「……ダ、ダメ…自分で…あ…」




慌てて後ろを向いてピアノを鏡代わりにピアスをつける君、ほら、やっぱり似合ってる



「…チャンミン綺麗だ、似合うよ」


「……あ、ありがとうございます/////」



恥ずかしがりの俺の恋人、そっと手をとってベッドルームへと向かった



「…あ、あの…ユノさ…待って…」


「もう待てない」



覚悟を決めて?俺だってもうギリギリなんだ



固まってしまった君を抱き締めて、そのままベットへと二人で倒れこんだ










































. 宇宙からの贈り物 後編



パラレルギャラクシーファンタジー✩⡱






君は宇宙からやってきた




~Yside~







「ユノおかえりナサイ♡」


「ああ、ただいま」



ニャー



「おお、チーズもただいま!!」




ピンクのエプロンで迎えてくれるのは俺の嫁…ではなくて宇宙人チャンミンと猫のチーズ(笑)



あれから二週間、チャンミンはすっかりこっちの生活に慣れて言葉も違和感なくなってきた


どこだか知んねーけどとにかくシム星ってとこからきたチャンミン、俺にキスしただけで地球人の情報を得て、後はパソコンから世界全体の情報を知ったらしい、知能はかなり高いんだろう



帰ったら飯も出来てるし、散らかしっぱなしだった部屋は片付いてるし、なにより美人だし



…このままここにいてもいいのにな////




あ、一つ困ったことがある



チャンミンは布団を別に敷いてやっても寂しがっていつの間にか俺のベッドに潜り込んでくるんだ


…それだけならまだいいんだが/////



「…頼むからさぁ、パンツくらい履いて寝ろよ」


「僕の星では裸で寝るのが普通なんデス」


「…ったく!!そこは地球に合わせろっつーの」



黙ってしまったチャンミンはまたうるうると大きな瞳に涙を溜める、ああ!!もう泣くなって



「…ユ、ユノは僕が嫌い…カ?」


「…んなことあるかっ、ほらこっちこい!!」


俺はチャンミンの腕を引いてベッドへ寝かせると上から覆い被さった



「そんな格好でそんな顔して…キスするぞ?」


「…ユノ…僕にキスしたいデスカ?」


「…したい」


「……ユノ、好き」



俺はゆっくりとチャンミンに口付けた、啄むように何度も何度も、まさか自分が宇宙人に惚れちまうなんて思ってもみなかった



「チャンミン好きだ、俺のそばにいろよ」



嬉しそうにコクコクと頷くお前、ぎゅっと抱き締めて眠ったのに



…目覚めた時にはチャンミンは居なかった



なんで?



昨日はこの腕の中にいたのに…!!



どこにいったんだよ!!




やり場のない怒りが込み上げる、まさかもう帰っちまったのか?俺に一言も言わないで?




彼がいた痕跡は…残されたピンクのエプロンだけ




まるで夢のような出来事、本当に現実だったのかさえわからないほどだった




あれから、一年ほど過ぎただろうか…




家の近くに隕石が落ちたと騒ぎになっていて、そういやチャンミンが現れた時もそんなだった、なんて思い出していた



もしかして…



バクバクと心臓が音を立てる



マンションの下から自分の部屋を見上げると灯が見える、俺は慌ててエレベーターへと乗り込んだ



玄関で靴を脱ぎ捨ててリビングのドアを開けると飯のいい匂いがした



…いない、どこだ?どこにいった?




掛けてあったエプロンが無くなってる!?




「チャンミン!!」




俺はベッドルームに入って叫んだ、こんもりとベッドに丸くなる塊、急いで駆け寄るとチャンミンは薄っすらと目を開けた



「チャンミン、ただいま」


「…ユノ、ただイマ////」



むくりと起き上がったチャンミンは裸にピンクのエプロン!!


「なんでそんな格好なんだよ/////」


「…ユノにキスして欲しいカラ」


「キス以上のことしちゃうぞ」


「…SEXスルカ?」


「……する…ぷっ(笑)」




俺達は二人で顔を見合わせて吹き出した



そして…おデコをコツンと合わせて、たくさんたくさんキスをしたんだ























. 空色の調べにのせて ~逢いたくて~ 34








~Cside~







バスルームでシャワーを浴びて、ポタポタと足元に落ちる雫を見ていた



…今日ユノさんに抱かれる?/////



い、一応自分の体を隅々まで洗っちゃって、準備は万端なんだけど



早くそうなりたい気持ちと、ユノさんをがっかりさせてしまうんじゃないかって気持ちがまだあって、正直怖いんだ、まるで女の子みたいに胸が震えてしまう


ユノさんのことになると途端に不安になって、いつまでもこんなこと考えちゃって



…あ、早くしないと



随分時間がかかってしまった、すっかり冷えてしまった体を拭いて髪を乾かすと、バスルームを後にした



ユノさんはソファに肩肘をついて眠っていて



…疲れてるんだ



毛布を掛けようとそばによると腕をガシッと掴まれた!!


「…わあっ!!/////」



あっという間にユノさんの腕の中で、ぎゅうぎゅうと抱き締められて


「チャンミンびっくりしすぎ」


「…ね、寝てると思ったから/////」


「起こしてくれなかったら怒るよ?だってこの時間に間に合わせるように来たのに!!」


強い口調で言われて胸がドキドキする、怒らせちゃった?


そっと顔を上げると声とは裏腹などこまでも甘いアーモンドアイ、そんな目で見つめられたら僕は蕩けてしまいそう


「ほら、こっちにおいで、もう日付が変わるよ?」



ピアノの前に連れて行かれて、横に立たされるとユノさんは鍵盤の前に座り、ピアノを弾き始めた





Happy Birthday to you…

Happy Birthday dear Changmin



Happy Birthday to you…♪





ユノさんの低い声が部屋に響く、バースデーソングのプレゼントだなんて!!


「…ユノさ…」


胸がいっぱいで涙が溢れてくる、ユノさんは弾き終わるとふう、と、息を吐いて僕を見つめた



「ハッピバースデーチャンミン、俺からのプレゼント受け取ってくれる?」




ユノさんは赤いのリボンのついた小さな箱を僕へと差し出したんだ


























. 宇宙からの贈り物 前編




パラレルギャラクシーファンタジー✩⡱









その夜、星が一つ流れた





~Yside~








PPPPPPPPPP♪



目覚ましのアラームが鳴り、無意識に手を伸ばす、あれ?この辺に置いたはず…



ふにっ♡



え?なにこの手触り、猫のチーズは昨日は一緒に寝てなかった筈……てことは?



俺は咄嗟に起き上がり布団をひらりと捲った!!



…えっ、ええええええええっ!?/////



俺の横にはすやすやと眠る裸の男が!!!



なななななにこれなにこれ!!



必死に記憶の糸を手繰り寄せる、昨日は一滴も飲んでないし、仕事が終わるとシャワー浴びて一人で飯食って寝て…



どこをどう考えてもこの状況が把握できない(汗)


…もしや泥棒とか!!



布団を捲られても尚すやすやと眠るそいつの顔を覗き込む、薄い唇、艶々の頰っぺ、伏せられた長い睫毛がふるふると揺れている



…すげぇ美人だ/////



ゆっくりと瞼が開いて宝石のような瞳で俺を見つめるその人



「…き、君だれ?/////」



その人は上半身を起こすと困ったような表情をした、話せないのか?



「☆*€$+%>々〆○♪°%……」


「…へっ?/////」


「*○+$〆°%♪・☆€〆$?」



もしかして外国人なのか?俺英語全然わかんないんだけど(汗)



…つーか、英語でもないみたいだけど



通じないとわかったようでその人は瞳を潤ませてポロポロと涙を零した、やべ、泣かせちまった!



「…ごめんな?言葉わかんねーよ、とりあえず寒いから何か服着ようか?」



ベッドから降りようとすると腕をグッと掴まれて引き戻される、細いくせにわりと力がある


勢いよく引かれてベッドの上で向かい合う形になってしまった!!いくらなんでも目のやり場に困るっつーの!!/////



「…っと!!…なに!?服を…」



何か言いたいことがあるんだろう、懇願するように上目遣い、俺だってなんとかしてやりたいが、いかんせん言葉がわからない


眩しいほどの肌の白さに見惚れていると、その人はふわりと俺の頬を両手で包んだ



「+$#<々☆♪……/////」



……あ…れ?体が動かな…い?



「……っ!!!!!/////」



鼻先が触れるほどの距離に近づいたかと思うと、俺はその人にキスされていて



ん、んむむむむむっ…!?長いっ、長すぎる…



視界に映るのは真っ赤に染まった頬と濡れた睫毛、うおお、なんだこの気持ちよさは!?/////



ちゅっ♡




音を立てて離れるとその人はふう、と一つ息を吐いた、潤んだ瞳で俺を見ると初めて分かる言葉で話し始めた



「オドロカセテスイマセン、イマアナタカラチキュウジンノジョウホウヲヨミトリマシタ」


…はっ!?ち、地球人!?なにそれ?てことは!?



「ボクハチャンミン、チキュウカラトオクハナレタシムセイカラヤッテキマシタ、ウチュウセンガコワレテシマッテ…タスケガクルマデココニオイテモラエマセンカ?」


突然すぎて頭がついていかない、まさか『びっくりしまくりカメラ』とかじゃねーよな?(泣)


「こ、困るよ!!宇宙人なんて何食うかわかんねーし、俺仕事行かなきゃだし!!」


大きな瞳を更に大きくしてまた涙がハラハラと溢れる、ああ、また泣かせちまってるし、本日二回目じゃねーか!!


「…タヨレルノハアナタシカイナイ…」


泣きながら俯いてしまったチャンミン、まだ裸のままだし、なんか俺すげー悪者みたい(泣)



「だあっ!!わかった、わかったよ!!とにかく俺は会社行ってくっからさ、ここに居ろ?服はそこに置いといくから!!」


「…アリガトウ、ヤサシイヒト/////」


「ユノだよ」


「…ユノ♡」





…こうして俺は宇宙人のチャンミンを居候させることになったんだ


































. 空色の調べにのせて ~逢いたくて~ 33









~Yside~






久しぶりに食べたチャンミンの手料理は、男二人が並ぶには随分と小さな食卓で身を寄せ合って


テーブルには俺の好きなカルボナーラ、色とりどりのサラダとパンが並んでいて…


「うまい!!」


よかった、と、口元に手をやって片目を細めるその仕草、今すぐ抱きしめて腕の中に閉じ込めてしまいたい


食事が終わると、チャンミンは片付けを手際よく済ませて俺の横に座った、少し不安げに視線を泳がせる君、強張る体から緊張が伝わる



「シャワー浴びておいで」


「…は、はい/////」


「…ね、チャンミンが嫌なら何もしないよ?」


「…い、嫌じゃないです/////」


「チャンミン愛してる」


「…僕も/////」



猫背をさらに丸くして縮こまってしまった君を抱きしめて、安心させるように背中をポンポンと叩いた



「ほら、日付が変わってしまうよ」


「…は、はい/////」



ゆっくりと体を離してチャンミンはバスルームへと消えていった



…さあ、準備をしようか



鞄からプレゼントを取り出してグランドピアノの上に置いた、花束は用意出来なかったから明日にしよう



何より早く逢いたくて大学まで押しかけたんだ、思えば誰かのバースデーを心待ちにして祝うなんて、リウ以外いなかったのに…



今年は大切なものが一つ増えた、かけがえのないものが



喜んでくれるだろうか、少し緊張している?この俺が…ドンへにまたからかわれそうだな




俺はピアノの前で祈るようにチャンミンを待った



















. 天使かもしれない ~クマ先生の憂鬱~ 20




シウちゃん目線です^ ^






~Sside~








…面白くない




久しぶりに現れたシムさんは、なんて言うか幸せオーラを纏って、肌なんかツヤツヤしちゃって艶かしくて


ああ、とうとうチョン先生と(泣)



「はああああっ~!!」


「…おい、シウ!!仕事中だぞ?」



横目で見ていたマスターが僕の頭をコツンと小突く、大きな眼で睨まれて僕は肩を竦めた




「…へーい」


「なんつー顔してんだよ、あの二人のことはもう分かってたことじゃん」



…そう、わかってんだけどさ、目の当たりにするとやっぱりキツイんだって(泣)



「ま、上手くいってよかったよ、ユノはなにかしら残念なとこあるからな~あんなにイケメンなのになぁ」


腕を組んでうんうんと頷くマスター、ほんとになんだかんだ言って面倒見がいいんだから



カラン♪



「チャンミナ~♡」



ふん、チョン先生のお出ましか、釣れないそぶりなのに御構い無しにシムさんに擦り寄る髭面の男



…まるっきり不審者じゃん!!(笑)



…でも嬉しそうなシムさんを見てたら怒る気も失せるよな、好きな人にはあんな風に笑うんだ



恥ずかしそうに俯いて、ちらちらと上目遣い、口もとはもう緩んじゃってどうしようもないくらいのデュフり具合だし




先生も目を細めて愛おしそうに見ちゃってるし、そんなに見たら溶けるんじゃないってくらい甘い視線だし



とても入り込めない…



なんつーか、運命の相手なんだろう、はたから見ててもわかるほどの漏れ具合とか



「ヒョン、オーダーお願いしまーす」



ひょっこりと顔を出すベク、思わず頬をぎゅううと引っ張った、なんか苛めたくなるんだよね、この子犬感



「…ヒョン?ひたいれす~(泣)」


「ヒョーーーン!!こっちもオーダー」



セフンがでかい声で僕を呼ぶ、ああ、ここで感傷に浸るなんて僕にはできないな(笑)



シムさんが幸せならそれでいいか!!



僕って見た目より男らしいタイプだしね(笑)

































. 空色の調べにのせて ~逢いたくて~ 32










~Cside~






まだ胸がドキドキしている、明日逢えると思ってたから、家に来てくれるかもわからないのに食材だけはたくさん買っていてよかった


…ユノさんの好きなカルボナーラにしよう、サラダはイタリアンサラダでいいよね


小さなキッチンの前には小さなダイニングテーブル、料理を並べてワインも用意した



小さめのソファに無造作にかけられたユノさんのコートとジャケットが目に入る



ふふ、あんなとこ置きっ放しだ/////


コートをクローゼットに掛けるとふわりとあなたの匂いがして、思わずそこに顔を埋めた、ああ、本当にここにいるんだ/////



「何してんの?」



クスクスと壁に凭れてユノさん笑ってる、見られた!!(泣)



ユノさんは僕を背中から抱きしめながら耳元で囁く、濡れた髪が視界に入り心臓がドキドキして息苦しい



「…俺の匂いがした?」



僕はくるりと向きを変えてユノさんの胸に顔を埋める、今顔を見られるのは途轍もなく恥ずかしいよ


しばらく二人で抱き合って離れられなくて、ポタリ、と、ユノさんの髪から雫が垂れてきて



ダメ、風邪ひいちゃう



「ユノさんちゃんと拭いて?髪乾かさなきゃ」


「…やっとこっち向いたね、もっとよく顔見せて?」



僕を見つめるアーモンドアイ、なんだかいたたまれなくて首にかけたタオルでゴシゴシと髪を拭いた、ユノさんは僕の手を取って掌にキスをする


「…ユノさん?/////」


「まだ二ヶ月以上もあるのに…今度はどうやってこっちに来ようか企んでるところだよ」


「……/////」



「ふふ、君のいないあの家は寂しすぎてね、リウも早く会いたがってる」



…僕も同じです、そう言いたいのになんだか泣いてしまいそうで



返事の代わりにユノさんの頬を両手で包んで、啄むようにキスをしたんだ
















. 天使かもしれない ~クマ先生の憂鬱~ 19







~Cside~





「シムさんビールでいいですか?」


「あ、はい」



僕は今、テーゼのカウンターに一人、先生と待ち合わせしてる



…あれから一週間/////



先生とめでたく結ばれて(三回もしたけど)


ま、まあ、その夜は一緒のベッドで別々に寝たけど…どうにか平穏な同棲生活がスタートして


締め切り二日前だった先生は、鼻血の出し過ぎでとうとう貧血起こして具合悪くなっちゃって…



それでも間に合わないって必死に頑張る姿はちょっとカッコよくて////



締め切りは何日か伸ばしてもらってやっと今日どうにか校正も終わったんだ



『チャンミナがいるから頑張れるんだって!!』



満面の笑みで言われたら…/////


なんだかんだ僕って先生のこと好きなんだなって実感する


子供みたいに無邪気で、真っ直ぐで、やっぱり僕には無くてはならない人…



「その様子じゃ上手くいってるみたいですね」



いつの間にかヒチョルさんが両肘をついて僕の顔を覗き込んでいた!!



「….わあっ!!/////」



「…シムさん顔面管理(笑)」



…や、やめて欲しい/////心臓に悪いんだって!!




カラン♪



「チャンミナ~♡打ち合わせ終わったよ!!」



「先生、お疲れ様です♡」



「…はああ~疲れた、あれ?飲んでるんだ、俺も飲みたいけどなぁ、うーん」



カウンターで首を傾げる先生は、髭も伸び放題のクマ先生に戻っていて、僕は思わず吹き出してしまう


「なに笑ってんの?チャンミナ、今日はさ、いいよね?ふふっ♡」


…ばっ!?こんなとこでなに言ってんだ!!/////



「…ユノ、お前ほんと俺に感謝しろよ!!」


「わかってるって、ヒョン!!」


ウーロン茶を出しながら呆れ顔のヒチョルさん、先生はヒチョルさんに両手を合わせて感謝のポーズをとると僕の手をぎゅっと握った



僕はジロリと先生を睨んでぶんぶんと首を横に振ってやった



結局、先生のお強請りなんてすぐにきいてしまうんだけど、やっぱりちょっと嫌がって先生の困る顔が見てみたいんだ



「…えええええええ~?(泣)」



泣きそうな声の先生を指の間からこっそり盗み見て、ほくそ笑む僕ってちょっとどうだろう(笑)



…でもね



仕方ないから女豹のポーズもしてあげる、猫耳のオプション付き!!




僕はシュンとした先生の頬にちゅっとキスをしたんだ



































. 空色の調べにのせて ~逢いたくて~ 31









~Yside~








チャンミンをカフェテリアで待っている間、パソコンを開いて少し仕事を済ませた、荷物は既にホテルに運んである、今夜は一緒に過ごせるよな?



…君がいれば場所はどこだっていいんだ



「ユノさん、お待たせしました!!」



息を切らせてチャンミンがやってくれば、自然に胸が高鳴る、こんなにも君に逢えたことが幸せだなんて


チャンミンの部屋はとても片付いていて、ピアノの部屋、他にベッドルームが一つ、完全防音のなかなか快適な空間だった



外はチラチラと雪がちらついていて



「….ユノさん?」


「チャンミン、今夜はここにいてもいい?」



ボッと音が出るほど顔を赤くしたかと思うと、 俺の腕の中にスルリと滑り込んだ、小さく頷くのを確認すると、顎を掬って桜色の唇にそっと口付けた


「…今日だけじゃなくて、こっちにいる間はずっと一緒にいたいんだ」


「…僕もです/////」



時刻はもう夕方、日の暮れるのが早いウィーンの夜、外は既に真っ暗になっていて、君のバースデーまではまだ時間がある



深くなる口付けに抱きしめる力も強くなる、少し痩せたよね、細い腰を掌で撫でるとピクリと体を震わせた


「…チャンミンベッド行く?」


「…ダ、ダメです////…晩ご飯食べないとだし…ユノさん早くシャワー浴びて休まないと…」


「…じゃあ一緒にシャワー浴びる?」


「…せ、狭いから…/////」



相変わらずのつれない恋人、苛めたくなってしまうよ



「…あっ…ユノさん…ダ…メ…ぁあ…ん…////」



俺はチャンミンの耳にキスをしてそのまま舌を差し入れた、ちゅう、と耳の中を吸うと可愛い声をあげて啼くから止まらなくなる



「チャンミン可愛い」


「…ん、ダメッ…///」



なんとか俺の腕を払い除けて、大きな瞳で睨むけど全然怖くないんだ


「…ふふ、わかったよ、なにか作ってくれるの?」


「…はい、パスタとかサラダぐらいしかないですけど、先にシャワー浴びてて下さい/////」



全身を赤く染めたチャンミンに軽くキスをして、俺はバスルームへと向かったんだ








































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紫苑☆

Author:紫苑☆
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